再生医療に必要な装置の分野では、パナソニックヘルスケアがインキュベーターやフリーザーなど、オリンパスが顕微鏡と、各社が事業展開してきたが、今、さらに異業種からの参入が活発になり、市場のすそ野が急速に広がりつつある。
再生医療の拡大を見込んで、異業種がその周辺産業へ相次いで参入している。これまで、再生医療に必要な装置の分野では、パナソニックヘルスケアがインキュベーターやフリーザーなど、オリンパス<7733>が顕微鏡と、各社が事業展開してきたが、今、さらに異業種からの参入が活発になり、市場のすそ野が急速に広がりつつある。
ITシステム大手の日本ユニシス〈8056〉は、細胞を生きたまま冷凍する装置の実用化に乗り出した。従来の冷凍技術では解凍した時点で生き残るのは3割程度とされていた。そこで、日本ユニシスでは慶応義塾大学の岡野栄之教授と共同研究し、水を瞬時に凍らせることで、細胞膜の損傷を抑える「CAS(セル・アライブ・システム)」という技術を持つアビー(千葉県流山市)の協力を得ることにした。岡野教授によると、この技術を使用して凍らせることにより、7割の細胞を生きたまま保存できる。
電子計測器、ネットワーク機器メーカーのアンリツ〈6754〉は6月、再生医療製品メーカーのレジエンスと、再生医療用トータル管理システムを構築するための開発に着手することで合意した。このシステムによって、再生医療製品の製造から流通、医療機関で患者に投与されたデータまでを一元管理できるようになる。
さらに、日立製作所〈6501〉は東京女子医科大学などと共同で、細胞を短時間でシート状にする自動培養装置の実用化を進めている。
市場調査会社のシード・プランニングによると、国内の再生医療の周辺産業の市場規模は、2020年945億円、2030年5514億円、2040年約1兆 1399億円、2050年1兆2847億円と推定されている。
再生医療関係の業界団体「再生医療イノベーションフォーラム」には、すでに150社以上が加入している。今後、さらに再生医療の周辺産業への進出が活発になることで、再生医療の発展も促されることになりそうだ。(編集担当:久保田雄城)