メーカーの社員チームが鈴鹿8耐でSSTクラス優勝を狙う

2015年07月24日 11:09

メーカーの社員チームが鈴鹿8耐で優勝を狙う

「team R1&YAMALUBE(写真左から3名)」と「磐田レーシングファミリー(写真右から3名)」、マシンはYZF-R1M。

真夏の祭典「鈴鹿8時間耐久ロードレース」が今年も始まった。今回は総勢84チーム参加するが、二輪メーカーの社員だけで構成されたチームがある。その中でもSSTクラス優勝に一番近いとされるのが、ヤマハ発動機<7272>の社員チームだ。

「team R1&YAMALUBE」は、YZF-R1の国内外の開発メンバーによって結成されたベテランチーム。「SSTクラスなので改造範囲が狭く、タイヤやタンク、ブレーキを耐久仕様にする程度で、ほぼ市販車のままです。だからこそYZF-R1Mそのもののポテンシャルが試されるクラスであって、ナンバーワンであることを証明するために、最速社員とともにクラス優勝を目指します」と語るのは、チーム監督兼ライダーの時永真選手。SP開発部に所属し、過去には磐田レーシングファミリーの一員として全日本選手権にも参戦するなど、今回の鈴鹿8耐は8回目の挑戦になる。

メンバーとしては、MotoGPのテストライダーで、全日本GP500三連覇や鈴鹿8耐でも豊富な経験があり、YZF-R1の企画や開発に携わった藤原儀彦選手。さらに、ヤマハモーターヨーロッパのテストライダーであり、過去にはスーパーバイク世界選手権にも参戦した、YZF-R1の走行実験担当のジェフリー・デ・フリース選手の3人。

ヤマハにはもうひとつ「磐田レーシングファミリー」という社員チームがある。若手社員を中心に結成され、1970年代にロードレースクラブとしてスタート。主な活動は、鈴鹿サーキットを中心に地方選手権や全日本選手権などへの参戦し、もっとも重要とされる鈴鹿8耐は、1978年の第1回大会から出場している。

「自分は2012年に初参戦して今回が2度目になります。このチームは実験としてマシン作りを経験してもらい、職場が盛り上がるように若手社員育成の場でもあります。いろいろ工夫していかにタイヤ交換を素早くできるかチャレンジし、SSTクラス6位入賞を狙っています」と語るのは、磐田レーシングファミリーの部長でもありチーム監督、選手の1人3役こなす西村一之選手。

 メンバーとして、8耐は今回で5回目となる澤村元章選手や、全日本選手権、鈴鹿8耐ともに参戦経験をもつ真鍋秀司選手の3人のサラリーマンライダーで戦う。

 鈴鹿8耐は、8時間ものレース中に7、9回はピットに入って、給油やタイヤ交換をするのだが、EWCクラスのマシンはタイヤ交換が瞬時にできるためピット作業は20秒ほど。それに対してSSTクラスの場合は市販車ベースなので、さらに1分ほどかかってしまうという。コース上で1秒タイムを縮めるのは大変なことから、ピット作業のタイムを縮められるのかが勝負の分かれ目なのだ。

 両チームとも使用するマシンはYZF-R1M。YZF-R1の上級仕様車で、電子制御サスペンションやカーボン素材の軽量カウルなどを装備している。電サスのあるおかげで、3人のライダーそれぞれにあったサスペンションセッティングを、タブレットの通信で簡単にできるというメリットがある。

 ホンダも社員チームとしてエントリーしている。ホンダの二輪車を扱っている販売店が主体となってレース活動を行っている「販売店チーム」や、ホンダの製作所や本社・関連会社で働いている従業員が組織作り、仕事ではなくレース活動を行っている「従業員チーム」がある。中でも「Honda鈴鹿レーシングチーム」は昨年度総合6位の成績を収めている実力派チームだ。
 
 ヤマハが13年ぶりにファクトリー体制で臨む「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」は総合優勝を狙い、ヤマハ社員チームの「team R1&YAMALUBE」はSSTでのクラス優勝を狙うというが、結果はいかに?(編集担当:鈴木博之)