【今週の振返り】続落した後、尻上がりに139円上昇した週

2015年08月08日 20:32

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今週の主役は魔都・上海からやってきた「午前10時半のスナイパー」。撃たれて下落するか、撃たれず上昇するか。東京市場はいまだ、泣くも笑うも上海次第。

 日経平均終値は27.75円安の20520.36円、TOPIX終値は+0.23の1659.83。売買高は23億株、売買代金は2兆8693億円。値上がり銘柄数は883、値下がり銘柄数は889と拮抗。17業種が上昇し、その上位は電気・ガス、医薬品、空運、小売、陸運、不動産、その他金融など。16業種が下落し、その下位は水産・農林、卸売、電気機器、非鉄金属、鉱業、機械、鉄鋼などだった。

 5日の日経平均は3日ぶり反発。NYダウは47ドル安で4営業日続落。製造業受注は+1.8%で3ヵ月ぶりのプラスだったが市場予測並み。「(利上げは)九月になれば」とロック・ハドソンならぬロックハート・アトランタ連銀総裁が発言したので長期金利の上昇、為替のドル高、株価の下落が同時に起こった。ウォールストリートジャーナルのインタビューで「利上げを受け入れる準備はできている」とも語ったロックハート総裁はFOMCで1票を持つ中間派。アップル株の続落も相場を冷やした。ドル円は124円台前半、ユーロ円は135円台前半。CME先物清算値は20520円だった。

 日経平均は30円安の20490円で始まる。TOPIXもマイナスでスタート。日経平均はプラスにタッチしてもアッという間にマイナスに押し戻され、20500円も割ってしまう。要人発言で為替の円安が進行し、トヨタの4~6月期決算の売上高、最終利益が過去最高で、子会社のスプリントがディスカウント攻勢をかけたTモバイルUSに抜かれ全米第4位に後退して約2000万ドルの最終赤字を出してもソフトバンクG<9984>はプラスで始まったが、トヨタは通期業績見通しを上方修正しなかった罪を問われるかのように3ケタ安。その他、アップル株の続落でアップル関連の電子部品セクターが軒並み安く、「御三家」筆頭のファーストリテイリング<9983>は前日発表の7月の国内ユニクロ既存店売上高が-1.5%と悪く、野村證券にレーティングを引き下げられて大幅安になっていた。

 20500円にもなかなか届かない日経平均とTOPIXが揃ってのマイナスは延々続いたが、午前10時30分の上海市場開始とともにTOPIXを露払いにプラスに浮上。上海総合指数は小幅マイナスで始まったが、すぐプラスにもタッチする展開。投資家は〃サメ〃がいないことを慎重に確認してから海で泳ぐようで、日経平均は11時を回ると20600円を突破し、上げ幅は一気に3ケタになって11時29分に20686円まで上昇。上海が上げ幅を拡大して安心感が出た上に、為替も円安が進行。前引けは162円高の20682円だった。

 後場は上げ幅を拡大して再開し、直後に20700円を突破して20715円の高値をつける。そこで折り返しても20600円台後半の水準をしっかりキープしながら時間が経過する。スカイマークの支援企業にANAHD<9202>が決定。上海市場はマイナスになったが日経平均は下げても20600円台のプラス圏を保ち、大引け直前に下げたものの93円高の20614円で終えて3日ぶりに反発した。TOPIX、JPX日経400は6日続伸した。

 新規IPOが1件。熊本県山鹿市が本社で、戸建て注文住宅の企画、設計、販売、施工監理が事業の主体のエスケーホーム<1431>が福岡Qボードに新規上場。公開価格800円に対し9時30分、13.7%高い910円の初値がついた。前日に東証マザーズに新規上場したが初値を持ち越したPCIHD<3918>は9時32分、公開価格2530円の2.7倍の6820円の初値がついた。これで今週2件の新規IPOは終了し、8月は連勝でスタート。セカンダリー市場の買い意欲は全然夏枯れしていないだけに、公募ゼロで大量に売出し放出した投資ファンドの出口戦略に対し、投資家がそっぽを向いて黒星を喫した7月29日上場のデクセリアルズ<4980>が惜しまれる。

 日経平均終値は93.70円高の20614.06円、TOPIX終値は+6.02の1665.85。売買高は25億株、売買代金は3兆1905億円で3兆円オーバー。値上がり銘柄数は1072、値下がり銘柄数は687。28のセクターがプラスで、上位は水産・農林、金属製品、不動産、精密機器、建設、海運、非鉄金属など。マイナスのセクターは小売、石油・石炭、輸送用機器、食料品、サービスの5業種だった。

 6日の日経平均は続伸。NYダウは10.22ドル安で5営業日続落したがNASDAQは4日ぶりに反発。ADP雇用統計は+18.5万人で市場予測を下回ったが、ISM非製造業景況感指数は+4.3ポイントの60.3で市場予測の56.2を大きく上回って10年ぶりの高水準で、投資家心理は利上げは9月か、9月でないのかの間で揺れ動いた。貿易赤字は7%拡大し、原油先物安も重しになった。決算が悪かったディズニーが最大の悪役。アップルは3日ぶりに反発したがiPhone販売が伸び悩み「九月になれば」発売される新型iPhoneに期待の重圧がかかる。長期金利は上昇し為替もドル高が進行してドル円は一時125円にタッチし124円台後半。ユーロ円は136円台前半。CME先物清算値は20760円だった。

 円安を背景に日経平均は154円高の20768円で始まる。TOPIXも2ケタ上昇。序盤から堅調で、午前9時46分に7月21日以来の20800円にタッチ。円安を好感した輸出関連銘柄だけでなく、日銀会合が2日間の日程で始まりメガバンクなど金利敏感セクターにも前日あたりから「妙な買い」が入っている。そんなことも相場のアクセントで、なければ寂しい。10時12分には20817円まで上昇しTOPIXはザラ場ベースの年初来高値を更新したが、「午前10時半のスナイパー」上海市場が待っていた。上海が1%を超えるマイナスで始まると、急所の先物の裁定解消売りを撃ち抜かれ日経平均は安値を取りながら20700円台前半まで下落していく。やっぱりこの日も「泣くも笑うも上海次第」。それでも上海総合指数の下げ幅圧縮に伴い、10時39分の20731円で下げ止まって20750円付近まで少し反発。11時に発表された東京都心部オフィス空室率は-0.23ポイントで5%を割って4.89%と3ヵ月連続改善。賃料も上昇した。その後は20750円付近の小動きからやや上向き、前引けは160円高の20774円だった。上海は前日終値付近まで値を戻していた。