現状のまま再稼働すべきでない 野党相次ぎ声

2015年08月11日 14:08

 九州電力川内原発1号機が11日、再稼働したのを受け、原発のない社会を目指す日本共産党や社民党などが相次いで談話を発表。民主党の枝野幸男幹事長は「国民の不安が払拭されたとは残念ながら、いいがたい状況での再稼働になった。現状のままでの再稼働はすべきでない」と問題提起した。また「民主党として2030年代に原発ゼロを目指す姿勢に変わりない」と脱原発を進めていく姿勢を改めて表明した。

 社民党は九州電力川内原発1号機の再稼働に対し「日本一危険な川内原発の再稼働を強行した九州電力、政府、原子力規制委員会に対し、強い憤りを持って断固抗議する」とした。

 談話の中で「東京電力福島第一原発の事故原因すら解明されないまま、原発労働者の被曝の増大や累積する汚染水の処理など困難な問題が山積し、事故収束の見通しは立っていない」とし「今なお11万人を超える住民が避難生活を強いられ、放射能の影響や避難生活のストレスなどから、子どもたちをはじめ多くの住民の健康被害も懸念されている。避難指示解除の名の下に加害者責任の放棄と賠償打ち切りなどの被災者切り捨てが始まっている」などと問題視した。

 社民党は「原子力規制委員会は川内原発を新規制基準に適合するとしたが、事故の可能性は否定していない。耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)の根拠も不十分で、大地震には対応できない可能性がある」と指摘。

 また「桜島を含む姶良カルデラをはじめとしたカルデラと巨大噴火の危険性には、火山学会など専門家からも異論が出ている。巨大噴火時の核燃料の緊急避難の約束も実効性のない空手形にすぎない。県民の生命を守る避難計画もずさんな絵に描いた餅である。特に、病院や福祉施設の患者・入所者をはじめとする要援護者については手つかず。3県にまたがる10の周辺自治体議会が求めている住民説明会も開かれていない。国民から規制委員会に寄せられた1万7000件を超える意見もほとんど顧みられることがなかった」と問題点を列記した。

 また日本共産党も志位和夫委員長が「再稼働に断固抗議し、停止を求める」との談話を発表した。

 談話で「原発再稼働には最近の世論調査でも6割近くが反対を表明している。東電福島第一原発事故の原因究明さえ行われないまま、国民多数の民意を真っ向から踏みにじって、川内原発1号機再稼働を強行したことは、断じて許されない」と批判。

 「事故が起きれば深刻な被害が及ぶことが予想される九州3県の5市5町の議会が、住民説明会を開くことを要求しているが、これもまったく無視して再稼働を強行した。住民の声を聞く耳さえ持たない」と非難。

 さらに「火山学会が『予知できない』という大規模噴火を九州電力が『数十年前に予知できる』と強弁し、政府もこれを追認したこと。医療・介護施設をはじめ住民避難のまともな計画と態勢がとられていないことも重大である。これらは最悪の『安全神話』の復活であり、到底容認できるものではない」と重大問題だとした。(編集担当:森高龍二)