【今週の振返り】472円高で5週間ぶりの週間騰落プラスの週

2015年09月12日 20:31

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8日の433円安で去年の大納会より安くなり、深刻な顔をした翌9日は、記録ずくめの1343円高。10日は470円安でも「きのうは上がりすぎたね」と、笑って話せる

 8日の日経平均は大幅反落。週明けのヨーロッパ市場は揃ってプラス。NY市場は「レイバー・デー」で休場だった。朝方の為替レートはドル円が119円台前半、ユーロ円が133円台前半で、前日比で少し円安に振れた。

 取引開始前に4~6月期のGDP改定値が発表され、年率換算-1.2%で速報値の-1.6%から0.4ポイント上方修正された。速報値横ばいの市場予測より良かったが、設備投資は速報値から0.8ポイント悪い0.9%減に落ち込み、在庫も0.2ポイント増加した。7月の国際収支速報値は、経常収支は1兆8086億円の黒字で市場予測を上回り13ヵ月連続の黒字。貿易収支は1080億円の赤字。自民党総裁選は出馬に意欲を見せていた野田聖子元総務会長が結局断念し、安倍晋三総裁の無投票再選が決まった。任期は3年間。

 「メジャーSQ週の火曜日」の日経平均は81円高の17941円で始まり、TOPIXもプラスでスタート。午前9時7分に17962円まで上昇するが18000円はタッチできず、急落してマイナス圏に落ち9時47分に17789円で底を打った後、10時にはプラスにタッチするなど序盤はめまぐるしい展開。10時台はマイナス圏の17800円台で推移する。株価指数が5%変動したら市場は30分停止、7%ならその日の取引は強制終了という「サーキットブレーカー」導入の検討が伝わった上海市場は、4営業日続落後でも1%を超えるマイナスで開始。日経平均も10時31分に17720円まで下げるが、上海が急伸しプラスに転じると下げ幅を圧縮。上海が再びマイナスになれば下げ幅を拡大と、どこまでもついていきますゲタの雪のようにシンクロ。前日は珍しく後場、上海の下げに逆らったが、この日はいつも通りの「中日連動」に戻る。GDP改定値の設備投資と在庫の悪さが足を引っ張り、11時15分に17682円の安値更新。アメリカが三連休中の薄商いの中では17700円台に戻してやっとで、前引けは135円安の17725円だった。

 正午すぎに伝わった中国の8月の貿易統計は、輸出が5.5%減、輸入が13.8%減でともに市場予測より悪かった。それを受けて上海市場の午前中の取引が下げ幅を拡大して1.38%安で終了すると、後場は先物主導で安値を更新して17603円で再開し、17600円を割ってさらに下落。為替も円高が進行し、午後0時34分に前日比300円安を超える17530円まで下落する。後場は1時台までおおむね17500円台を保ち17600円にタッチする時間帯もあったが、2時に上海市場が下げ幅を拡大して再開すると下落開始。2時に内閣府から8月の景気ウオッチャー調査(街角景気)の結果が発表され、現状判断指数は49.3で7月調査から2.3ポイント低下し、2ヵ月ぶりに悪化した。先行判断指数は48.2で、3.7ポイント低下し3ヵ月連続で悪化。内閣府のコメントは「中国経済に係る動向の影響などがみられるが、緩やかな回復基調が続いている」。国内指標も足を引っ張り、日経平均は2時31分に17415円のこの日の安値をつけた。終盤、上海市場は底を打って下げ幅をどんどん圧縮しプラスにもタッチするが、先物のロールオーバーで売りたたかれた東京市場は、もはやそれについていく余力は残されていない模様で、ヘタったまま433円安の17427円で終了。昨年の大納会(12月30日)の終値17450円を下回った。日中値幅は546円もあり連日の500円オーバー。TOPIXは1400台の維持も危うくなってきた。東京市場を置き去りにして上海総合指数は結局、+2.92%の5日ぶり反発で終えた。

 新規IPOが1件。国内、ASEAN諸国でEPC(設計、調達、建設の一括請負契約)事業や総合メディア事業を展開するJESCOHD<1434>が東証2部に新規上場。公開価格540円に対し9時9分、5.37%高い569円の初値がついて白星。今年の東証2部上場は3勝2敗1引き分けで、ようやく白星が先行した。今週の新規IPOはこの1件のみ。

 日経平均終値は433.39円安の17427.08円、TOPIX終値は-28.94の1416.71。売買高は22億株、売買代金は後場増加して2兆2741億円。値上がり銘柄数は246、値下がり銘柄数は1582。鉄鋼、パルプ・紙、非鉄金属、石油・石炭の4業種が上昇し、医薬品、食料品、小売、保険、陸運、その他製品をはじめ29の業種が下落した。

 9日の日経平均は4ケタの超大幅反発。上海市場の5日ぶりの反発、ユーロ圏の4~6月期GDP改定値の上方修正を好感してヨーロッパ市場は続伸。イエレン議長の肝いりでFRBが発表を始めた8月の労働市場情勢指数(LMCI)は+0.3ポイントの2.1と4ヵ月連続プラスで、市場予測も上回って9月利上げ説を補強したが、三連休明けのNYダウは終盤に上昇幅が400ドルを超えてほぼ高値引けの390ドル高。NASDAQも128ポイント上昇した。4日の雇用統計の影響はその後の材料にマスクされた。リスクオンでアメリカ長期金利は上昇し、金先物価格は4営業日続落。為替のドル円は120円台近辺、ユーロ円は134円台半ばと円安が大きく進行した。日経平均先物の大証夜間取引は18000円にタッチし、CME先物清算値は18005円だった。

 本来「鬼門」の「メジャーSQ週の水曜日」だが、外部環境好転を受けて日経平均は331円高の17758円で始まる。TOPIXも大幅高。急騰してアッと言う間に18000円を突破し、午前9時7分に18091円まで上昇する。押し目買いも入ったようで上げ幅は600円高を超える。しばらく18000円をわずかに超える水準をキープするが、9時30分頃から再び上昇を開始し18100円、18200円を突破し10時6分に18280円まで上がる。為替の円安進行が追い風で、前日比では850円高を超えた。折り返しても18100円台を維持。上海市場は小幅プラスで始まり徐々に上げ幅を拡大する展開。日経平均もそれに合わせて徐々に上昇幅を拡大し、10時台は18300円に時々タッチ。11時台に入るとさらに上昇し、11時28分に前日比1000円高にあと2円の18425円まで上昇する。前引けは988円高の18415円。TOPIXは66ポイントも上昇していた。

 上海市場の午前の取引はピークからやや下げたがプラスで終了。後場は18400円を割り込んで再開するが、それでも前日比962円高。18300円を割っても一時的で、18300円台後半で安定的に推移し、18400円にもタッチする。そして1時31分、約7年ぶりにザラ場中に1000円を超える「4ケタ高」を記録した。2時に内閣府から8月の消費動向調査の結果が発表され、一般世帯の消費者態度指数は+1.4ポイントの41.7と改善したが基調判断は「足踏みがみられる」で据え置き。上海市場は1%台のプラスのまま再開し次第に上げ幅を拡大していく。2時台の日経平均は18500円を超えてさらに上昇。2時30分に1147円高の18574円の高値をつける。「バンドワゴン効果」で野次馬的、ワルノリ的な買いまで呼び寄せたのか終盤になっても上昇の勢いが止まらず、日経平均は18600円も18700円もゴボウ抜きし、TOPIXは1500台乗せ。終値は1343円高の18770円で、TOPIX、JPX日経400ともども高値引け。日中値幅も4ケタの1013円。日経平均採用225種は東芝<6502>も含めて全てプラス。中国政府の財政措置期待が出ていた上海総合指数は2.29%上昇と、連日の大幅続伸だった。