クラウドサービスの選定理由として最も多いのは「価格面」。次いで「事業者に対する信頼性」だった。J.D. パワー アジア・パシフィックは、2015年日本クラウドサービス提供事業者顧客満足度調査の結果を発表した。
この調査は、通信事業者が提供・販売する法人向けのクラウドサービス(ホスティングサービス含む)に対する顧客満足度を調べたもの。全国の従業員規模50名以上の企業を対象に7月に郵送調査を行い、通信事業者提供のクラウドサービスを利用している741社から回答を得た。なお、調査では1回答社から最大2つの事業者の評価を得ており、評価件数は838件となっている。
それによると、クラウドサービス選定理由の上位3項目は「価格・見積金額が妥当」(52%)、「信頼できる・有名な会社なので」(35%)、「提案内容が優れていた」(22%)となった。特に2番目に多い“信頼”を選定理由にあげる企業の割合は、同社で実施している他のIT・通信関連サービスの調査と比べても多い傾向にあるという。サービスの持続性や安全性も念頭に置いているためか、事業者に対する信頼感もクラウドサービス選定においてはより重要な要素となっているようだとしている。
顧客満足度の測定にあたっては、6つのファクター(「導入・構築対応」、「システム品質」、「障害・トラブル対応」、「コスト」、「営業対応」、「サービス提供体制」)を設定し、各ファクターの総合満足度に対する影響度をもとに、総合満足度スコアを算出している(1,000ポイント満点)。調査ではこれら6つのファクター(領域)に関する計19個の詳細項目別評価を聴取しているが、最も評価が低かったのは営業対応領域における“導入したクラウドサービスに対するフォローアップ”となった。
特に従業員数100人未満や100~299人といった中小規模企業において評価の低さが顕著となっている。サービス提供事業者には導入の際のフォローのみならず、導入後にも適切なフォローアップが行える営業体制が望まれると提言している。
総合満足度ランキングは、ランキング対象となった3社中、ソフトバンクが第1位(総合満足度スコアは637ポイント)となった。ファクター別の評価では「導入・構築対応」、「システム品質」、「営業対応」、「サービス提供体制」の4つのファクターにおいて他社を上回るトップスコアを得ている。第2位はKDDI(616ポイント)、第3位はNTTコミュニケーションズ(603ポイント)となった。 (編集担当:慶尾六郎)