電子工作は無線化の時代。ますます繋がる「モノのインターネット」

2015年09月12日 19:33

IoT

加速的に普及し始めたモノのインターネット「IoT」。そんな中、ロームグループのラピスセミコンダクタは、電子工作で簡単にBluetooth通信を実現するArduino対応BLE-Shieldを開発した。

 近年、IoT市場が加速している。IoTとは「Internet of Things」の略で、あらゆるモノをインターネットに接続し、モニタリングやコントロールを可能にする、「モノのインターネット」だ。

 これまでにも、類似の概念として「ユビキタス」などが存在したが、ユビキタスは家電などの機器にコンピュータを組み込んで、人がそれを操作することが基本となっているが、IoTでは衣服や装飾品、自動車、住宅など、ありとあらゆるものが対象となるうえ、人が操作する以外にも、端末同士、モノ同士でも自律連携できることが大きな違いとなっている。また、その用途も生活のサポート的なことはもちろん、モニタリングやセンシングなどが必要な場面で幅広い活用が期待されている。

 IT専門調査会社IDCによると、2014年時点で6558億ドルだったIoT市場は、2020年までに世界で1兆7000億ドル規模にまで成長すると予測しており、しかもその周辺のプラットフォームやサービスが展開することで巨大な市場が形成されることを見込んでいる。

 そんな中、「電子工作」も大きく進化してブームを呼んでいる。電子工作といえば、小中学校時代の自由研究や、理系少年の趣味のように思っている人も多いのではないだろうか。とくに女性にとっては、あまり馴染みがないかもしれない。

 ところがここ数年、そんな電子工作の世界が大きく変容している。そのきっかけとなったのが、Arduino(アルデュイーノ)やRaspberry Pi(ラズベリーパイ)などの低価格マイコンボードだ。これらのマイコンボードは単に低価格なだけでなく、パソコンに簡単に接続でき、電子部品等を制御するプログラミングも手軽に行うことができるのが大きな特長だ。初心者でも簡単に複雑なプログラミングを導入することができるので、これまで関心の薄かった層にまで普及する原動力となった。その手軽さは「まるでスケッチするような感覚」と例えられたり、プログラム言語の世界に颯爽と登場して、パソコンを一気に大衆化したWindowsやMacに例えられたりもする。また、個人の趣味に留まらず、プロトタイプの開発などにも適しており、導入を進めている企業も多いようだ。

 マイコンボードのみならず、周辺部品ももちろん、大きな進化を続けている。より扱いやすく実装し易いアイテムが求められる中、電子部品大手のローム<6963>グループのラピスセミコンダクタが先日開発した通信シールド(拡張ボード)「MK71050-03 BLE-Shield(ビーエルイーシールド)」が、にわかに注目を集めている。同製品は、Bluetooth SMART準拠の2.4GHz帯無線通信が可能な、Arduinoに対応した通信シールドで、Arduino-UNO・Arduino-MEGAとの接続で、Android端末(Android4.4以降)から制御が可能だ。インターネット経由で1個から購入ができるので、誰でも手軽に無線通信環境の構築が可能となる。

 省電力ワイヤレス通信を可能にするBluetoothが簡単に導入できれば、電子工作の未来はさらに可能性が広がる。欧米では、Arduinoベースの基盤で製作したモノが、Kickstarte(キックスター)などのクラウドファンディングサイトを通して莫大な資金調達に成功し、IoTとして製品化している例も珍しくない。日本でもいずれ同じようなビジネスが生まれてくるだろう。いやはや、すごい時代になったものだ。(編集担当:藤原伊織)