「CEATEC」で異彩を放つ“イノベーションの都”京都の企業群は“研究開発型企業”

2015年10月17日 19:21

CEATEC Kyoto

2014年以降、CEATECでは“イノベーションの都”京都に本拠を置くオムロンや村田製作所、ロームや京セラといった、いわゆる革新的なテクノロジー開発力のある企業群が注目される

 「CEATEC(シーテック/Combined Exhibition of Advanced Technologies)」は、ITやエレクトロニクス分野の企業・団体が参加して最新技術や製品を発表する国際的な展示会。電子情報技術産業協会(JEITA)、情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)の3団体で構成されるCEATEC JAPAN実施協議会が主催する。

 1958年にテレビラジオ・パーツショーとして始まり、1964年に名称を「エレクトロニクスショー」と改称したイベントと、1997年にスタートした情報と通信を融合した総合展示会「COM JAPAN」を統合して発足した。

 「CEATEC」は、2000年に第1回展示会を開き、以後毎年開催してきた。最新デジタル製品を手にすることができる体験型の展示会として長い間人気を博した。発足して10年ほどは、まさに最新の薄型大画面テレビやデジタルカメラなどデジタル家電や生活家電、小型化と進化が止まらない携帯電話など「B2C」商材で話題性と魅力を満載した製品が並ぶ見本市として脚光をあびた。

 しかしながら、2007年の出展社895社、来場者数約20万人をピークに規模拡大がとまり、出展&来場者ともに減少傾向に。その縮小とともに、2010年代に入ってから日本を代表する家電大手メーカーが撤退する。

 ただ、その一方で、エネルギー産業やヘルスケア、農業や航空宇宙工学などのエレクトロニクス以外の産業が本格参入、電気産業でも「B2B」分野の基礎的技術集団ともいえる電気産業界のサプライヤーが参画する。オムロンや村田製作所、ロームや京セラ、太陽誘電、自動車関連ではデンソーやスタンレーといった面々である。いわゆる革新的なテクノロジー開発力のある企業群だが、一般消費者にあまり認知されていなかった企業だ。

 彼らは、自社の次世代イノベーション&最新テクノロジーを分かりやすく消費者に伝える場所としてCEATECというスペースを選んだように思える。

 JEITA(電子情報技術産業協会)会長であり、CEATEC JAPAN実施協議会の会長も務めるシャープ取締役会長水嶋繁光氏は会見で、「(CEATECは)IT、ビッグデータの利活用で豊かな生活の実現とともに、生産性を高める役割を果たしている。今回は、政府によるCPS(Cyber Physical System:サイバーフィジカルシステム)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)エキシビションとして2020年の社会生活を提案する」と語った。

 まさにそれを実現するのは、革新的なテクノロジー開発力のある企業群である。オムロンや村田製作所、ロームや京セラなどで、多くは“研究開発型企業”として知られている。そして、何故かこれら企業は“京都に軸足を置く”企業・団体が多い。いうまでもなく、機械、電気、精密機器関連の京都企業の多くが手掛けるのは消費財ではなく、「B2B」向けの生産財である。それぞれの市場規模はそれほど大きくはないが、大手などがあまり手を出さない分野に特化した組織でもある。

 彼らの製品は、プロダクト技術ではなく開発技術が重要だ。そうした技術が複雑化、高度化すればするほど、それぞれが持っているノウハウがものをいう。京都で最先端技術の製品をつくる研究開発型企業でも、熟練技術者が存在するから成立する技術、部品、工程が少なくない。

 産学協働が積極的に進んでいるのも京都の特徴だ。なかでも、地元京都において産学連携を推進するロームは 立命館大学、同志社大学、京都大学に「ローム記念館」を寄贈し、包括的な産学共同研究の推進を図っている。

 京都の産学連携組織では「オール京都による“イノベーションの都”推進宣言」を掲げ、京都産業界における知恵の集積、オープンイノベーションの加速への対応、大学における相互連携の進展を標榜する。そこでは行政における、社会・地域貢献のためのベンチャーの創業育成や国家プロジェクトの活用による産学公連携拠点の整備など、産・学・公の環境対応が進んでいるようだ。こうしたノウハウを蓄積できる研究開発型企業が育つ素地が、京都という“古都”に自然に備わっているのかもしれない。

 今後も京都の最業界と産学協働に注目が集まる。次回の「CEATEC JAPAN 2016」は、2016年10月5日から10月8日、幕張メッセで開催予定。(編集担当:吉田恒)