「家族の日」に考えたい、家族にとって「住みごこちのいい家」とは?

2015年10月24日 19:36

家族の日

住宅メーカー各社も、エコや省エネ・創エネなどの最新設備を詰め込んだ住宅の販売に勤しむ一方、もっとアナログで基本的な「家族が住みやすい家」「住みごこちのいい家」をコンセプトにした住宅商品の開発に力を入れている

 超高齢化社会に突入した日本。2025年には人口の約30%、60年には約40%が65歳以上の高齢者になるとみられている。内閣府では少子高齢化対策の一つとして、2007年から、11月の第3日曜日を「家族の日」、さらに、その前後1週間を「家族の週間」と定め、生命を次代に繋ぐことや、子育てを支える家族と地域の大切さなどの啓発を行っている。また、キッチン・バス工業会もこれに賛同し、11月2日を家庭文化の日(キッチン・バスの日)と定め、家族の団らんや癒しに少しでも貢献する記念日として普及に努めている。

 住宅メーカー各社も、エコや省エネ・創エネなどの最新設備を詰め込んだ住宅の販売に勤しむ一方、もっとアナログで基本的な「家族が住みやすい家」「住みごこちのいい家」をコンセプトにした住宅商品の開発に力を入れている。とはいえ、住みやすい家とはどういうものだろうか? 夫婦二人のみの家庭の場合と、小さな子供を抱える家庭では、たとえ同じ世代であっても、住みやすさの定義は異なるだろう。また、同居や二世帯、賃貸と持家などでも、理想の住み心地は大きく違ってくる。

 そこで今、一つのキーワードとして注目されているのが「女性目線」だ。

 例えば、木造住宅を手掛けるアキュラホームは、「1000名の女性が考えた住みやすい住居」というテーマで主婦層の意見を取り入れた住宅の開発を行っている。同社では、創立35周年を記念した住宅商品として、その名も「住みごこちのいい家」を2014年から販売しているが、こちらも「女性目線」の家事楽アイテムが標準搭載されている。収納スペースの拡充や家事の負担軽減が期待できる仕様などを採用し、主婦層の評判も上々のようだ。

 また、パナホーム<1924>では、女性の視点や感性に応える賃貸住宅コンセプト「Lacine(ラシーネ)」を全国展開するとともに、社内研究組織として「ラシーネ研究所」を設立し、あらゆる世代の女性の声に耳を傾け、女性視点で価値観やライフスタイル、ニーズなどを研究している。住友林業<1911>も、30代〜40代の子育て世代を読者にもつ、集英社の女性誌「LEE」と協力し、読者約1,600人からアンケートを取得するなど、女性カスタマーの声から商品コンセプトを抽出し、女性社員が中心となって商品を開発する「女性目線開発プロジェクト」を進めており、その活動や成果を反映した住宅「konoka(コノカ)」を販売している。

 近年は女性の社会進出も進み、「女性は家を守るもの」という考えは薄らいできた。また、家事負担を分担する男性も増えている。しかし、それでもやはり、女性や子どもの住みやすい家は、家族の住みやすい家といえるのではないだろうか。住宅購入や賃貸の引っ越しなどの際は、価格や華やかな最新設備だけに気を取られるのではなく、実際にその住宅で生活を始めた後の「住みやすさ」「住みごこち」という面を充分に考慮した住まい選びをしたいものだ。(編集担当:藤原伊織)