ここのところ良いニュースを聞かない米マクドナルドだが、長期にわたって続いている低迷から抜け出す糸口が、ようやくこの時期になって見え始めてきたようだ。しかし、まだその糸口は小さく、そしてもろいものであると言わざるを得ない。特に、これまで米マクドナルドが陥り続けていた暗くて深い穴のことを思うと、この復活の傾向はあくまで一時的なものであり、再び低迷状態が続くのではないかと、ついネガティブな事を考えてしまう。
22日に米マクドナルドが発表した2015年7~9月期決算によれば、純利益は前年同期比23.0%アップの13億920万ドル(約1580億円)であり、7四半期ぶりに増益をはたした。売上高は前年同期比5.0%ダウンの66億1510万ドル(約7980億円)で、ドル高が影響し前年同期を下回った。
米マクドナルドは、14年7月に仕入れ先である中国食品会社で期限切れ鶏肉が使用されていたことが発覚し、日本や中国などのアジア地域にて顧客離れが起こり大きく売り上げを落とすこととなった。また本拠地であるアメリカでも、健康志向の顧客取り込みに成功した新興チェーンに顧客を奪われ、売り上げの低迷状態が続いていた。こうした状況を打破すべく、同社は今年3月にスティーブ・イースターブルック氏を新しい最高経営責任者(CEO)とし、「ファストフードの王様」に返り咲くべく、経営再建に取り組んでいた。
その結果、アメリカではモーニングのメニューを大幅に見直すなどの施策を行い、その結果、アメリカの既存店売上高は2年ぶりにプラスに転じ、全世界の既存店売上高も前年同期比4.0%アップとなった。
今回の7四半期ぶりに売上高プラスという結果について米マクドナルドは、業績好転にすべての市場が重要な役割をはたしていると、経営再建の手ごたえを感じており、10~12月期についても、すべての部門で好調な販売が期待できるとしている。この強気な言葉通りに推移するかどうかは現時点ではまだわからないが、予断は許さない状態であることは間違いない。本格的な復活のためには、これまで以上に効果的な施策の実施が必要となるだろう。(編集担当:滝川幸平)