【今週の振り返り】テロに屈しない意気を示し282円上昇した週

2015年11月21日 20:33

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フランスにおける内乱。パリを「破壊しに」とテロリストが言おうと、金融市場連鎖崩壊を食い止める「太平洋の防波堤」になった東京市場。だがごほうびの日経平均2万円は、おあずけ。

 上海市場は小幅プラスで午前中の取引を終えた。麻生財務大臣が補正予算の編成について、甘利経済財政担当大臣が法人税の引き下げについて、それぞれ前向きな発言をしたことで政策期待が盛り上がり、後場の日経平均は19800円台に乗せて高く再開し、高値を取りながら午後0時39分に19842円まで上昇する。プラス浮上もあるかと思わせたが後が続かず、1時台後半には19800円を割り込む。2時に再開した上海市場はプラス圏で上げ幅を拡大していくが、日経平均は逆に19750円近辺まで下落。「利益確定売りの金曜日」で、しかも特に下げがきつくなる3連休前。2時台は反発して19800円にタッチし、いったん凹んだ後に終盤、目が覚めたような上昇が始まる。19800円をあっさり突破し、TOPIXは1600台回復。その後も上げ足は止まらず、大引け15秒前にはとうとうプラスに浮上し、高値引け20円高の19879円で4日続伸。日経平均リンク債の設定に伴う先物買いが入ったらしく、最後うっちゃりで「勝ちに不思議の勝ちあり」ではあるが、日経平均先物日中取引は18890円で終了し連休明けの2万円回復に望みをつないだ。TOPIXもJPX日経400も高値引け。上海総合指数は終盤マイナスにもタッチしたが結局0.37%高で今週の取引を締めくくった。

 前身の企業(ベルシステム24)が2005年まで東証1部に上場していたので事実上の再上場だが、新規IPOが1件。コールセンター業務、治験支援業務などを手がけるベルシステム24HD<6183>が東証1部に上場。公開価格1555円に対し9時6分、4.95%低い1478円の初値がついて黒星。コールセンターという業態自体の成長性に疑問符がつくほか、フレッシュさに欠ける「出戻り」で、公開価格が公募仮条件の下限に近く、公募、売出株数が合計で3737万株もあり資金吸収金額が581億円と大きいため、ある程度は予想できたことだった。

 前日に東証マザーズに上場して初値がつかなかったあんしん保証<7183>は公開価格1460円に対し11時5分、3.92倍の5730円の初値がついた。しかしロゼッタ<6182>は2日目も大引けまで初値がつかず、公開価格695円に対し5.29倍の3680円の買い気配で終了。両銘柄とも、家賃の連帯保証人の制度や日本人の語学コンプレックスを解消するという企業理念も、同業他社とのビジネスモデルの違いも明確なのが好感された模様。今週の新規IPOの3件は1勝1敗1預かりだが、2勝1敗になるのはまず確実。

 日経平均終値は20.00円高の19879.81円、TOPIX終値は+2.80の1603.18。売買高は18億株で20億株割れ。売買代金は終盤まで2兆円割れが危惧されたが、大引けで売買が盛り上がり2兆1857億円。値上がり銘柄数は1139、値下がり銘柄数は623。上昇は17業種で上位は化学工業、サービス、医薬品、小売、その他製造、建設など。機械1業種がプラスマイナスゼロ。下落は15業種で、下位はバルチック海運指数が算出開始以来最低に沈んだ海運を筆頭に、ゴム製品、証券、電気・ガス、倉庫、輸送用機器などだった。

 今週の星取は4勝1敗。前週末13日の終値19596.91円から282.90円上昇して、19日の「日経平均2万円チャレンジ」は惜しくもあと41円及ばなかったが、いま、にわか人気のラグビーで言えば「2万円認定トライ」にしてもいいぐらいの健闘をみせた今週の取引を終えた。週間騰落は5週連続でプラスになりその間、18勝6敗、勝率7割5分というハイペースぶりだった。(編集担当:寺尾淳)