9月30日に施行された改正労働者派遣法。与党は「派遣労働者の雇用を安定させるため」と主張、野党は「より不安定になる」と真っ向から対立、その溝が埋まらぬまま成立からわずか19日間で施行された。
あれからまもなく3ヶ月、派遣社員の働き方は変わったのか。ディップ(2379)が行った「はたらこねっとユーザーアンケート」によると、現場への影響はまだあまり表れていないことが分かった。
改正の内容は企業の派遣社員受け入れ期間の延長(人が代われば同じ仕事をずっと派遣社員に任せることができる)、派遣期間が無制限だった専門26業務制度の廃止、個人単位の派遣期間の上限設定(同じ職場で働ける期間が上限3年)、派遣会社への雇用安定措置の義務づけキャリアアップ推進の法令化、などがある。
まず、この改正労働派遣法を知っているかという質問に「良く知っている」と答えたのは9%、「なんとなく知っている」が52%だった。「あまり知らない」と「まったく知らない」を合わせるとその割合は39%になり、現場へ浸透しているとは言いがたい。
項目ごとに見てみると、「派遣期間の制限」の変更については、「よく知っている」と「なんとなく知っている」を合わせると66%になるが、「キャリアアップ推進」では28%と大きな差があった。
「法改正で変化を実感することはあったか」という質問には、「いいえ」が87%と「はい」の13%を大きく上回った。「はい」と回答した人の具体例としては「契約社員への切り替えを打診された」「派遣会社から労働者派遣法改正の説明文書をもらった」「派遣会社から教育研修の案内があった」などがあげられた。
「雇用安定措置」や 「キャリアアップ推進」について「変わった実感がない」がそれぞれ88%・89%と高い数字となった。「派遣元・派遣先の担当者と話があったが、当面の契約は継続のため特に変わった実感はない」というのが実情だろう。
「派遣は色々な働き方が魅力なので、法律によって働き方が限定されないよう企業は努力して欲しい」という回答にも代表されるように、派遣という働き方に至った事情は人それぞれだ。厚労省の調査によると、派遣社員のうち「正社員として働きたい」人は43.2%、「派遣として働きたい」人が43.1%と、ほぼ半々。一人ひとりのスタッフが自分のスキルに合った職場で生き生きと働くことができるよう、派遣元、派遣先ともに一層の努力と工夫、厚いサポートが求められている。(編集担当:久保田雄城)