16日、FOMC(連邦公開市場委員会)はFF金利の最低限を0%から0.25%に引き上げ、ゼロ金利政策を脱した。NYダウの終値は16日は224ドル高だったが、17日は253ドル安、18日は367ドル安と続落。だが、後で誰が何と言おうと、利上げのドアは開かれ、年が改まる前にFRBの金融政策は次のステージに進んだ。
18日、日銀はETF年間買入枠3兆円に1割分3000億円を追加する「プチ緩和」を発表したが、それに反応して一時、2万円回復まであと131円と迫った日経平均はアッと言う間に急落し、19000円を割り込んで終わる乱高下劇を演じた。日銀の「補完措置」は単純なETF買い出動ではなくいろいろ条件がついていて量的緩和の大枠も変わらず、それがマーケットの失望を呼んだ。それでは次のステージには進めない。
悲喜こもごもだった日米の中央銀行のビッグイベントを通過して、今週は海外投資家の参加が減るクリスマスウィークになる。キリスト教の信者ではなくても、市場参加者が減ったらやはり活発に売買しなくなる。しかも東京市場は23日が祝日休場。いつもの週より国内外の経済指標もイベントも少な目なので、4日間の売買は低調が予想される。
だが、「閑散に売りなし」という言葉があるように、今週はいろいろな意味で落ち着くので、中央銀行イベントにさんざん振り回された前週の失地を挽回するチャンス。例年、12月の下旬は「掉尾の一振」と言われ、大納会(今年は30日)にかけて上昇相場が現れやすい傾向があるが、その理由の一つとして、クリスマスウィークは海外投資家の参加が激減し「閑散に売りなし」になることが挙げられる。クリスマス休暇に入る前に海外勢が日本株のポジションを整理する売りは、荒れ気味だった前々週のメジャーSQ週と前週に相当程度、済まされていると思われる。
需給データが、その証拠になる。11日の裁定買い残は11週ぶりに4279億円減少して3兆2026億円になり、メジャーSQらしいメジャーSQだった。信用倍率は5.13で3週連続で増加している。東証が発表した12月7~11日の週の投資主体別株式売買動向(現物)によると、信託銀行は1751億円の3週連続の買い越し、個人は1687億円の2週連続の買い越しだった。そして外国人は、8週連続の買い越しでも金額は82億円と少なかったが、現物に先物を加えると驚くことに、1兆1586億円という大量の売り越しだった。メジャーSQ週の外国人の先物売りがすさまじく、東京市場がまるで焼け野原のようになったことがわかる。
これは前々週のデータだが、週間の最高値と最安値の差が1306円もありボラティリティが大きかった前週も、下落した14日、15日、18日は休暇前のポジション整理の売りが出て焼き払われ、状況は前々週と似ていたように思われる。週間騰落の数字は前々週の274円安に近い243円安だった。
その前週末18日の日経平均終値18986.80円のテクニカル・ポジションを確認しておくと、5日移動平均の18967円は19円下の直下にあり、75日移動平均の18771円は215円も下にある。200日移動平均の19505円は519円上、25日移動平均の19534円は548円上とはるか上空にあるが、19869円まで上昇した18日のザラ場で一時、完全に抜き去った。それは昼下がりの蜃気楼のようだった。
ボリンジャーバンドでは、18日終値は18759円の25日線-2σと19146円の-1σの間にあり、ニュートラル・ゾーンから160円下。なお、+1σは19922円で、これも18日のザラ場であと53円まで急接近するというファンタジーが見られた。
前週は日経平均が15日に日足一目均衡表の「雲」の中に突っ込み、18日もまぼろしの上昇局面が大崩壊した後、安値がそれに接近して終わっていた。18日時点の雲は18313~18962円で、12月のSQ値の18943円、75日移動平均の18771円を包んでいるので雲全体が下値のサポートラインになる資格は十分。今週は上限は19034円から19232円まで上昇し、下限は18313円から18430円まで上昇する。少し売り込まれたらまた雲の中に突っ込んでしまうが、クッションにはなってくれそうだ。雲の上限は年明け、大発会翌日の1月5日の19593円のピークまで上昇を続けるというスケジュール。
オシレーター系指標は「売られすぎ」シグナル点灯は1個だけだが、全般的に低位にある。25日騰落レシオは86.6で100未満、25日移動平均乖離率は-2.9%でマイナス、RSI(相対力指数)は39.5、RCI(順位相関指数)は-74.1で-50を割り込んで「売られすぎ」、サイコロジカルラインは5勝7敗の負け越しで41.7%、ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は44.8で50未満、ボリュームレシオは42.3で50未満である。ボリンジャーバンドとともに今週は「下値は限定、上値は追える」というシチュエーションになりそうなことを示している。
今週の下値は、やはり日足一目均衡表の雲が目安になるだろう。18日終値時点で24円下にある。今週は雲の上値は19000円台に上がるが、そのすぐ下に「まぼろしのSQ」だった12月のメジャーSQ値18943円という「鉄筋」が入っているのが心強い。11日にSQ値が低く抑えられたことが回り回って幸いする。18771円には75日移動平均線もある。今週の基点になる18日のCME先物清算値は75日線の9円上の18780円まで下がっているが、今週は雲のクッションの助けを借りながら12月SQ値(18943円)超え-19000円台回復-雲の上に出る-200日、25日移動平均線の回復と、日ごとに徐々に刻んで上がっていけばいい。だから上値は19500円で、高望みはしない。