ジーエフケー マーケティングサービス ジャパンは、自社調査モニターであるHEMS利用世帯(家庭の電力使用量を可視化する機器及びサービスを利用する世帯)の年間の蓄積データを分析し、主要家電の季節ごとの電力使用状況について発表した。
HEMS利用世帯における電力使用量を家電製品毎に調査した。その結果、年間の電力使用量が最も多かったのは冷蔵庫で、世帯の電力使用量の13%を占めたという。しかし、家電製品の電力使用量は季節で変動し、冬(12~2月)ではエアコン(リビング・寝室合計)が冷蔵庫を上回った。
季節ごとに電力使用量の内訳をみると、エアコンは夏(6~8月)では12%であったが、冬では16%に上昇した。一方、冷蔵庫は、夏では18%を占めたが冬は8%まで縮小した。また、テレビは年間を通じて電力使用量がほぼ一定であるが、構成比でみると夏は9%、冬は7%となった。洗濯機は2%前後と、季節による大きな変化は見られなかったとしている。
また、夏と冬で電力使用量の差が大きい冷蔵庫とエアコンについて、1日の電力使用量の変化を追った。冷蔵庫は、夏の1日の電力使用量が冬の1.7倍となっており、気温の影響値の大きさが見て取れる結果となった。24時間通電している冷蔵庫は、食事の準備時間とみられる8時、13時、19時台前後に僅かに電力使用量が増えるものの、一日を通じて大きな変動は見られなかった。
冷蔵庫に関しては、使い方よりも、気温と使用モデルの性能が電力使用量に与える影響が大きいことが伺えた。全国の家電量店で販売された冷蔵庫(400L台)の年間消費電力量の平均値を見ると、 2012年は367kWh、2013年は321kWh、2014年は274kWhと年々省エネ化が進んでいる。買い替えることで節電につながるといえるとしている。
次にエアコン(リビング)の1日の電力使用量をみると、冬は夏の約2倍となり、冷房・暖房で大きな差があることが分かった。また、時間帯によっても大きな変化が見られた。夏は気温が上昇する午後から電力使用量が増え、20時台でピークを迎えた(図3) 。一方、冬は7時台と20時台にピークが見られた。気温の低い起床時と、午後の帰宅時に合わせ起動させているという使用状況が顕著に示されたとしている。
そして、HEMS利用世帯へのアンケート調査によると、エアコンの平均的な設定温度は冷房使用時で26.0℃、暖房は22.8℃であった。資源エネルギー庁は設定温度目安を冷房時28℃、暖房時20℃としており、実際の設定温度とは2~3℃の差があった。同庁によると、設定温度を1℃調節すると年間で冷房は約670円、暖房は約1,170円の節電になるとしている。
冷蔵庫と異なり、エアコンはスイッチのオン・オフや設定温度など意識的にコントロールできる部分が大きい。電力使用量が多いエアコンを如何に使用するかが、世帯の電気料金を節約する鍵だとしている。
また、4月に電力小売り自由化を控えた2016年は、電力使用量や電気料金への消費者の意識が例年より高まることが予想されるとしている。電力使用量が秋の約1.5倍と、年間で最も多い冬の電力使用動向が注目されるという。(編集担当:慶尾六郎)