【今週の振返り】「閑散に売りだらけ」で217円下落した週

2015年12月26日 20:36

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ことわざが、実態を反映しないこともある。「貧乏暇なし」ではなく「貧乏暇だらけ」。東京市場は「閑散に売りなし」ではなく「閑散に売りだらけ」で、ズルズル5日続落。

 日経平均終値は97.01円安の18789.69円、TOPIX終値は-9.98の1523.62。売買高は19億株、売買代金は1兆9362億円でこの日も20億株割れ、2兆円割れの薄商い。値上がり銘柄数は326、値下がり銘柄数は1523。値上がりセクターは9業種で、その上位は水産・農林、鉱業、石油・石炭、鉄鋼、海運、卸売など。値下がりセクターは24業種で、その下位は空運、医薬品、サービス、建設、金属製品、証券などだった。

 25日の日経平均は「暗黒面(ダークサイド)」に墜ちたかのような5日続落。「Happy Holidays!」の薄商いの中、NYダウは午後1時までの短縮取引で、終盤プラスにタッチした後、3連休前の手じまい売りで引け間際に急落し50ドル安と4日ぶりの反落。NASDAQは4日続伸。S&Pはマイナス。ヨーロッパ市場はドイツ休場、フランスマイナス、英国プラスでまちまち。新規失業保険申請件数は5000人減の26.7万人で1973年以来42年ぶりの低水準になり雇用は依然好調。原油先物価格は続伸し38ドル台まで戻したが、それ以上に先物価格が上昇したのが天然ガス。「1月から厳しい寒波が来る」という天気予報が出たため。ウォール街でも、世界最大の農産品先物市場があるシカゴでも、気象予報士は花形職業。お天気お姉さんのための資格ではない。アメリカの長期金利は小幅低下。金先物価格は上昇。為替のドル円は120円台前半、ユーロ円は131円台後半。CME先物清算値は18800円だった。

 暮れが押し迫っても月末の金曜日は、いつも通りに政府から経済指標の発表ラッシュ。11月の労働力調査は、有効求人倍率は市場予測の1.24倍を上回る1.25倍に上昇し、23年10ヵ月ぶりの高水準。新規求人倍率も1.93倍に上昇した。しかし完全失業率が10月から0.2ポイント悪化して3.3%になり、市場予測の3.2%より悪かった。完全失業者は11万人増加しており、雇用情勢は予断を許さない。家計調査の二人以上世帯の実質消費支出は-2.9%で市場予測の-2.3%より悪かった。消費者物価指数(CPI)は、11月全国は+0.1%で10月の-0.1%から上昇し、0.0%の市場予測を上回って5ヵ月ぶりにプラス。12月東京都区部は+0.1%で市場予測と一致した。11月の企業向けサービス価格指数は+0.2%で10月の+0.4%から伸びが鈍化した。

 日経平均は34円高の18823円と18800円台を回復して始まる。TOPIXはわずかなプラスでスタート。日経平均がプラスだったのは最初の20分ほどで、TOPIXはプラスの時間がもっと短く、あとはマイナス圏に沈んでこの日も東京市場は軟調。失業率悪化、実質消費支出の悪さが気にされている模様。午前9時34分に18756円まで下げ、ようやく下げ止まる。マイナス圏でくすぶっていた日経平均に変化が現れたのは10時30分前で、急伸してプラスに浮上。TOPIXもプラスにタッチした。上海市場はプラスで始まるものの小幅、為替は変化がなく、買い材料がよくわからないまま10時43分に前日終値より約80円高い18870円まで上昇する。薄商いなのでほんの小さな材料でも変化しやすい。上海はマイナスに落ちる時間帯もあったが徐々に値を切り上げていく。しかし日経平均は上値が重く値を崩し、前引けは22円高の18812円。TOPIXはマイナスに戻っていた。

 上海市場は一時マイナスに凹んでも小幅プラスで午前の取引を終了。後場の日経平均はほぼ前引け水準で始まるが、プラス圏を維持できたのは午後0時台まで。1時台から再びマイナス圏に落ち、プラスにタッチしても一時的。それでも小幅安で粘っていたが、2時台は一段安になり2時19分に18744円まで下げて安値更新。この日はビール大手やタイヤ大手など12月期決算銘柄の配当取り、優待取りの買いが入る権利付き最終売買日で、年間NISA枠の使い切りも、確定申告が12月締めの個人投資家が、投資の所得を損益通算で節税するために手持ちの含み損銘柄の売り注文を出すのも、最後のチャンス。それでも今年最低水準の薄商いで為替も動かない。

 2時にも経済指標が3件出た。10月の景気動向指数改定値の一致指数は1.5ポイント上昇したが速報値の2.0ポイントより縮小。先行指数は1.8ポイント上昇。内閣府は景気の基調判断を「足踏みを示している」に据え置いた。11月の新設住宅着工戸数は1.7%増で2ヵ月ぶりに増加し市場予測の1.0%増を上回り、これは好調。11月の外食売上高は0.5%減で5ヵ月ぶりのマイナス。休日が少なかったことが理由に挙げられていた。

 2時に再開した上海市場はプラス圏で上げ幅を次第に切り上げていく展開。終盤は10~40円安、18750~18780円のレンジで動き、プラスに浮上する気配もなくそのまま終了。終値は20円安の18769円で、日本がまるで「地球の売り極」になったかのような5日続落。どこまで続くぬかるみぞ。TOPIXも続落した。上海総合指数は0.42%高で、世界で東京市場だけが、どこかおかしい。

 新規IPOが1件。きものの販売・レンタル、結婚式場の運営などを行う一蔵<6186>が東証2部に新規上場。公開価格1210円に対し9時0分、2.1%高い1236円の初値がついた。東証1部直接上場、2部上場はいつも成績が良くないが、公開価格より26円高いだけでも白星は白星。新規IPOは12月は18戦全勝で、現在19連勝中。次回は3月の見込みで、春が来るまで冬眠に入った。

 日経平均終値は20.63円安の18769.06円、TOPIX終値は-7.43の1516.19。売買高は19億株、売買代金は1兆6049億円で2015年で最低記録を更新。値上がり銘柄数は509、値下がり銘柄数は1362。プラスのセクターは日本水産<1332>が連日大人気の水産・農林を筆頭に、保険、小売、医薬品、食料品、その他製品、精密機器の7業種。マイナスセクター26業種の下位は電気・ガス、鉄鋼、鉱業、銀行、卸売、機械などだった。

 今週の星取は4戦全敗の黒星街道。前週末18日の終値18986.80円から217.74円下落して、薄商いが極まったクリスマス・ウィークの取引を終えた。週間騰落は11月27日まで6週連続プラスの後、4週連続のマイナス。(編集担当:寺尾淳)