7日の日経平均は数字だけ見れば大幅反発だが敗北感あり。前週末4日のNYダウは369ドル高でNASDAQ、S&P500とともに大幅反発。前日の「ドラギ・ショック」の252ドル安を取り返しさらに117ドル上乗せ。11月の雇用統計は非農業部門雇用者数21.1万人増。市場予測の20万人は上回ったが、10月分が29.8万人(修正値)でポジティブサプライズだったのでやや物足りなさが残る。失業率は5.0%、平均時給は+2.3%で10月と同じ。労働参加率は62.5%で前月比で0.1ポイント上昇していた。これで今月中の利上げの確度が高まる。ウィーンの石油輸出国機構(OPEC)定例総会では減産のゲの字も出ず、逆に生産目標引き上げの話まで出る始末。原油先物は一時40ドルを下回りエネルギーセクターが売られたが、NYダウの大幅高にはほとんど影響しなかった。前週の世界の悪役、ECBのドラギ総裁は講演で鉄面皮にも「必要であれば追加の金融緩和に踏み切る」と取り繕ったが、覆水盆に返らず。言うだけならタダ。CME先物清算値は19710円。雇用統計の数値を受けて一時ドル高円安が進行し、7日朝方の為替レートはドル円が123円台前半、ユーロ円が134円近辺だった。
甘利大臣が8日発表のGDP改定値を「たぶん0%になる」と上方修正の希望的観測。発表するのは内閣府。4日は25日移動平均を割り込み下げすぎ気味だったこともあり、日経平均は205円高の19710円と反発して始まる。CME清算値にピタリとサヤ寄せし、25日移動平均の19578円は1日割れただけで上回る。TOPIXは1588台でスタート。序盤はすぐに19750円を超えて午前9時22分に19777円まで上昇し、その後は高値圏でもみあい。10時台まで静かに引っ張る。上海市場はプラスで始まるが、序盤にマイナスまでドンと下落してまたプラスに戻すという乱高下で、気まぐれな〃悪女〃は今週も健在。だが耐性がついたのか日経平均は高値圏をキープし続け、11時台に入ると19800円を突破し、11時21分に19811円まで上昇した。前引けは292円高の19796円だった。
上海市場は当初プラスとマイナスを行ったり来たりで不安定だったが、徐々に水準を上げ0.4%高で午前の取引を終えた。日経平均は前引けから少し下がって後場の取引を再開し、午後0時台は19800円の少し下で推移するが、小幅に膠着。翌日、翌々日は「鬼門」のSQ週の火曜、水曜に国内の重要経済指標の発表が重なり、アメリカ雇用統計の結果を織り込んだら、後は様子見なのもやむなし。売買は非常に薄い。1時台は少し下げ19700円台半ばの緩慢な値動き。
2時に10月の景気動向指数速報値が発表され、一致指数は前月比2.0ポイント上昇の114.3、先行指数は1.3ポイント上昇の102.9で悪くなかった。景気の基調判断は「足踏みを示している」で据え置き。日銀の黒田総裁が都内の講演で異次元緩和は着実に効果を発揮していると述べたが、為替も株価も反応は限定的。限定的でなかったのが午後の取引を再開した上海市場の影響で、プラスからマイナスに滑り落ちると、前場はつれなくしていた東京市場も仲良くシンクロして上昇幅を圧縮。終盤に19700円を割り込んだ後も安値を更新し続け、2時53分に19677円まで下げる。悪女とダンスするとこんな目にあう。それでもなんとか大引け前に19700円前後まで戻し、終値は193円高の19698円。後場に上げ幅を99円も圧縮する竜頭蛇尾な一日で、TOPIXとともにローソク足は黒(陰線)になった。上海市場は結局、シレッと0.33%高で終了していた。
前週4日に東証マザーズに新規上場し初値がつかなかった鎌倉新書<6184>に初値がついた。9時43分、公開価格1000円の約2.8倍の2806円。9時57分から終日ストップ高に張りつき終値は3310円高値引けという剛毅な鎌倉悪源太。1947~49年生まれの「団塊の世代」の人口は664万人で、現在の男性の平均寿命80歳に達するのは2027~2029年。1人が亡くなって葬儀、仏壇、墓所に300万円が使われると仮定しても約20兆円。団塊の世代だけで外食産業全体の市場規模約24兆円に迫る。投資家はこの「中・長期的に有望な市場」を高く評価したのか?
日経平均終値は193.67円高の19698.15円、TOPIX終値は+11.19の1585.21。薄商いが極まって売買高は16億株という少なさ。4月6日の15億株以来に次ぐ今年2番目の低水準。売買代金は2兆円を割り1兆8918億円。値上がり銘柄数は1275、値下がり銘柄数は486。28業種がプラスでその上位は食料品、小売、サービス、精密機器、水産・農林、空運など。マイナスのセクターは下から鉱業、パルプ・紙、海運、電気・ガス、卸売の5業種だった。
8日の日経平均は大幅反落。ヨーロッパ市場はドイツ、フランスはプラスだったが、週明けのNYダウは終日安値もみあいが続き117ドル安。NASDAQもS&P500も大幅安だった。11月の労働市場情勢指数(LMCI)は0.5で10月の2.2から悪化し、GEの家電部門のスウェーデン企業への売却話が撤回されるニュースもあったが、最大の下落要因は下落幅が5%を超えた原油安。先物価格終値は1バレル37.65ドルで6年10ヵ月ぶりの安値になった。OPEC総会で協調減産ができなかったためで、FRBの利上げに暗雲が漂ってアメリカの長期金利は低下し、金先物は3日ぶりに反落。為替のドル円は123円台前半、ユーロ円は133円台後半。CME先物清算値は19735円だった。
東京市場の取引開始前に7~9月期の国内総生産(GDP)改定値が発表された。年率換算で1.0%増で、法人企業統計で製造業の設備投資が大幅増だったのを受けて設備投資は0.6%増。0.8%減の速報値から大幅な上方修正で、市場予測の0.1%増も「甘利予測」の0.0%も上回った。名目GDPは0.4%増だった。10月の貿易収支は2002億円の黒字、経常収支は1兆4584億円の黒字で16ヵ月連続の黒字。11月上・中旬の貿易統計は6574億円の赤字だった。