アジアの旅行者急増は、日本では「インバウンド」として受け入れ側の立場で話題や課題が扱われることが多いが、実は日本から「アウトバウンド」する海外旅行者たちにも大きな影響を与えていることが大手旅行会社の調べで明らかになった。
「海外旅行に関する意識調査」を行ったのは、JTBワールドバケーションズで、2013年から15年の間に海外旅行経験のある全国の20~69歳の男女を対象にインターネットで行い、1,034の回答を得た。
海外旅行について感じることという質問には、「海外旅行先で中国・韓国・台湾人旅行者を多く見た」と回答した人が74.9%だった。これは、「訪日旅行者(中国・韓国・台湾からの)が増えたか」についてについて、「とても思う」「やや思う」と回答した人が80.7%だったという数字と大差がなかった。
また、旅行予約については、直前だと飛行機やホテルの予約が取りづらいと感じている人は59.0%と多数に上った。実際の海外旅行の準備期間については、「5.3カ月前」に旅行を思い立ち、「4.5カ月前」に検討し始め、宿泊の予約は「2.9月前」という平均像が分かった。
同社では「中国・韓国・台湾などからの旅行者急増により、人気の海外旅行先では飛行機やホテルの予約が取りづらい状況が続いているため、旅行市場ではますます早期予約が加速すると思われる。早期予約は準備期間が充分持てるので旅を楽しむ重要なポイントにもなる」としている。
観光庁によると、2014年の日本人海外旅行者数は1,690万人で、この10年ほどは増減はあるもののほぼ同じ水準だが、訪日外国人旅行者数は10年で2倍以上の1340万人となっている。15年はこの数字を11月に越えるなどさらに伸びると予想されている。
国内の観光地で外国人に出会ったり、出張で宿泊予約が取りにくくなったりということは全く珍しくなくなったとしても、海外の観光地でもアジア系旅行者のパワーに圧倒されているということか。(編集担当:城西泰)