トヨタ、新興国で不振「期待したほど売れていない」

2016年02月04日 09:21

画・トヨタ、新興国て_不振「期待したほと_売れていない」

トヨタは11年ぶりに新興国戦略車「IMV」を全面刷新した。タイやインドネシアなどで生産し、部品メーカーに「年産120万台規模」と提示した大規模プロジェクトだ。しかし、予想に反して苦しい状況が続いている。

 昨年、トヨタ<7203>は11年ぶりに新興国戦略車「IMV」を全面刷新した。タイやインドネシアなどで生産し、部品メーカーに「年産120万台規模」と提示した大規模プロジェクトだ。

 燃費性能を向上させ、新技術を盛り込みながらも値上げ幅を1割に抑えた。棚田京一常務役員が「世界的に売れているピックアップトラックで革命を起こす」と語ったのは、昨年5月のこと??、部品メーカーともに大きな期待を寄せていた。

 しかし、予想に反して苦しい状況が続いているという。主力のタイとインドネシア市場は昨年、それぞれ前年比10%減、15%減に終わった。

 大竹哲也トヨタ常務役員は「アジアで(市場の勢いが)戻ってこないということを慎重に見ていくというのが現状だ」と語った。昨年12月にトヨタが主要部品メーカーに提示した2016年の販売台数計画(ダイハツ工業・日野自動車を除く)は、アジアで105万台。15年比4万台減という数字だ。

 新興国市場が陰りを見せる中、日産自動車<7201>は積極的な動きを見せている。新型小型スポーツ多目的車(SUV)の生産を始めるべく、ブラジルではレゼンデ工場に7億5,000万レアル(約220億円)を投じた。14年末にはロシアでサンクトペテルブルク工場の年産能力を従来の2倍である10万台にまで増やし、主力SUV「エクストレイル」の現地生産をスタートした。

 カルロス・ゴーン日産社長は「保有台数が少ない新興国は経済発展に伴って市場が拡大する」とし、中長期の成長を狙う。大竹哲也トヨタ常務役員も「タイもインドネシアも中長期的には発展の可能性にあふれた市場。今は事業基盤の強化を進め、市場回復に合わせてパフォーマンスを上げたい」と、中長期目線だ。

 トヨタは、17年にはアジアで109万台にまで回復すると見込んでいる。日産は通貨安による輸入部品調達コストの増加を回避すべく、部品調達の現地化を急ぐ。生産する車両の現地調達率目標を前倒しで達成させたいところだ。(編集担当:久保田雄城)