先日、とある回転寿司のチェーン店で食事をしていた時のことだ。隣の席に20代後半くらいのカップルが店員に案内されて座った。その後、店員が去るとすぐにそのカップルはスマートフォン(多機能携帯電話)を取り出し、画面を触り始めた。このことにはそれほど驚かない。最近ではよく見かける光景だ。筆者が驚いてしまったのは、そのカップルがそのままスマートフォンを操作しながら、回転寿司で食事を始めたことだ。最近では席の端末で注文することができる回転寿司店が増えたとはいえ、やはり回転寿司での食事というのは、レーン上を流れるネタに意識を集中させ、自分の好きなネタが流れてきたら目の前を通り過ぎて行ってしまう前にすかさず皿に手を伸ばす、そうした「ある程度の集中力」が必要になるものであると思う。しかしそのカップルは筆者が食事を終え席を離れるまでの間ずっと、スマートフォンを手にし、時々会話を交わし合いながら食事を続けていた。その光景を目にして率直に思ってしまった。「私達は一体いつから、これほどスマートフォンを手放せなくなってしまったのか?」と。
そして23日、通信事業者の業界団体である電気通信事業者協会(TCA)が「歩きスマホ」に関する実態調査を発表。それによれば、「歩きスマホ」をしたことのある人は、半数近くの44.8%にのぼることがわかった。また「歩きスマホ」をしている際に衝突事故を起こしそうになった人は33.7%、衝突事故を起こしたことがある人は4.5%であり、衝突事故を起こした場所は駅の通路やホーム、階段などが76.9%と、駅関連の施設が多くを占めた。
また「歩きスマホ」が増加していると感じている人は85.5%で、また「歩きスマホ」は迷惑であると感じている人は91%と、約9割の人が「歩きスマホ」を迷惑行為であるという認識を示していることがわかった。
今やスマートフォンは必要不可欠なものであり、それ抜きの生活は想像ができない。これは多くの人が感じていることだろうし、また筆者もそれに近い感覚だ。しかしそれでも、ここまで常にスマートフォンを操作し得なければいけない情報とは、一体どんなものなのか?そうした過剰に提供される情報ばかりに目を奪われているうちに、もっと大切なものが目の前のレーンの上を流れ去ってしまってはいないか?自戒も含めて、もう少し「スマホを手放す」生活を考えてみるべきではないだろうか?(編集担当:滝川幸平)