「決してメディアは委縮されていない」高市大臣

2016年02月17日 08:25

 日本ジャーナリスト会議が12日、高市早苗総務大臣が政治的公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合に放送法4条を理由に、電波法76条に基づき電波停止もありうると発言していることに「放送を所管する総務大臣職にあることを到底認めることはできない」として「高市大臣は速やかに職を辞すべきである」と大臣辞任を求める声明を発表したのに続き、「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」も16日までに、高市大臣に対し「発言の撤回と大臣辞職を求める」申し入れを行った。

 理由として「放送法第4条は放送事業者に法的義務を課す規範ではなく、放送事業者が自覚すべき倫理を定めた規定とみなすのが定説。言論・表現・報道の自由の根幹をなす番組の編集方針や番組内容に関わるものであり、これらに違反するかどうかを所管庁や政権が判定し、違反を理由に行政処分や罰則など法的制裁を発動するとなれば、憲法21条で保障された言論・表現の自由を侵害するおそれが強い。現に真実でない放送をされ、人権を侵害されたとして放送事業者に訂正放送を請求できるかどうかが争われた事件で最高裁は申立人の訴えを棄却する判決を言い渡した(2004年11月25日)」とし「倫理規範たる放送法第4条違反を理由に行政処分を可とするのは法の曲解であり違憲」としている。

 また「停波発言は 2007年の放送法改正にあたって行政処分の新設案が削除され、真実性の確保をBPOの自主的努力に委ねるとした国会の附帯決議を無視するもの」「放送法第4条に違反するかどうかを所管庁が判断するのは編集の自由の侵害である」としている。

 そのうえで「放送法の番人を装いながら、その実、行政処分権をちらつかせて放送事業者を萎縮させ、放送を政府のコントロール下に置こうとする野望を隠そうとしない高市氏は放送事業の所管大臣として失格であり、すみやかに辞任するよう求める」と辞任を求めている。

 高市大臣は16日の衆院予算委員会で民主党の奥野総一郎議員の質問に対する答弁の中で「私自身に対する、ここ1週間の報道を見ておりましても、決してメディアは委縮されていないと思います。伝えるべきことを伝えておられると思っております」と高市大臣の停波発言がメディアを委縮させるという批判には、そうしたことは報道からは見られないと真っ向反論した。(編集担当:森高龍二)