【今週の振り返り】フラッグ型チャートを描き1014円上昇した週

2016年02月20日 20:32

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15日に「春一番」が吹いて1069円高。しかし世界がリスクオンしても、毎日必ず、為替を巻き込んだ先物主導安の「ザラ場のスナイパー」に撃たれた。

 15日の日経平均は昨年9月9日以来の4ケタ高で4日ぶりの大幅反発。前週末12日はドイツ、フランスは大幅高、NYダウは313ドル高で6営業日ぶりの反発。1月の小売売上高の数値が良く、原油先物価格が29ドル台まで上がったのを好感され、自律反発も入った。CME先物清算値は15410円。朝方の為替レートはドル円が113円台前半、ユーロ円が127円台前半だった。

 取引時間前に10~12月期のGDP速報値が発表された。年率換算-1.4%で2四半期ぶりのマイナス成長。市場予測の-1.3%より悪いが、その分だけ政府の政策期待、日銀の追加緩和期待が出る。日経平均は295円高の15248円で反発スタート。買い気配の銘柄に値がつくにつれ最初の10分間で15600円台まで上昇する。NYダウの反発好感と3日続落後の自律反発で、前週まで悪かった金融セクターに旺盛な買いが入る。当初15500~15600円のレンジの安定した値動き。中国の春節商戦の小売業販売額が前年並みという速報があり、中国人民銀行は人民元防衛を表明して春節休暇明けの上海市場が再開。開始時は-2.84%で、香港ハンセン指数が前週-3.85%、-1.22%と続落したのと比べれば限定的。ハンセン指数は反発で始まる。中国市場を確認したところで日経平均は改めて上昇し、700円高を超えて15700円台にタッチ。前週までの凍てついたマーケットをとかす「春一番」が、春節休みが終わったばかりの中国から吹いてきてリスクオン。その後は15700円前後で安定し、前引けはほぼ高値引けの15718円だった。

 円安が進みドル円が113円台後半になって後場も上昇が続き、高値を更新しながら午後0時台のうちに15800円をオーバーして900円を超える上昇。さらに1時台前半だけで15900円台に乗せ、前日比4ケタ高突破。自律反発、アメリカ株高好感、GDPの悪さによる政策期待、上海の下げ幅が縮小している中国市場への安心感、114円に迫る円安に、「カラ売りの踏み上げ」の過給器(ターボチャージャー)が効いて麻雀の点数にウマがつくような急上昇。1時31分に15970円まで上がった後、1時台後半は15800円台で少し落ち着く。人民元の対ドルレートは今年の高値を更新。上海市場は再開後も下げ幅を少しずつ圧縮し-1%を切る。日経平均は2時台、ついに16000円の大台に乗せて後半は16100円も突破。上昇幅は1100円を超える。終盤、上値追いを再開して高値をどんどん更新し2時48分に16115円の高値をつける。上海はプラスにあと少し。終値は少し抑えられて1069円高の16022円。一時100ポイント高を超え1300を回復したTOPIXは、日経平均の上昇率7.16%をしのぐ8.02%の上昇ぶり。ドル円は114円台にタッチしたが、日経平均先物日中取引は16000円を割って終えた。

 日経平均終値は1069.97円高の16022.58円、TOPIX終値は+95.95の1292.23。売買高は32億株、売買代金は3兆1536億円。値上がり銘柄数は1874、値下がり銘柄数は55。全33業種がプラスで、その上位は保険、ゴム製品、証券、空運、陸運、その他金融など。上海総合指数は0.62%安、香港ハンセン指数は2.93%高だった。

 16日の日経平均は小幅続伸。15日のNY市場は「プレジデンツ・デー」で休場。ドラギECB総裁がブリュッセルの欧州議会で証言して3月の追加緩和を改めて予告しヨーロッパ市場は軒並み大幅高。原油先物価格は時間外取引で30ドル台を回復。日経平均先物夜間取引終値は15930円。朝方の為替レートはドル円が114円台後半、ユーロ円が127円台後半で、円安が進行した。

 日銀当座預金のマイナス金利がこの日から実施された。日経平均は16000円を割り込んで173円安の15849円で始まる。前日の1069円高の利益確定売りで9時11分に15809円まで下げるが15800円は割らない。9時台前半で15900円台、16000円台を回復してプラスに浮上し、早くも利食い終了。16079円まで上昇した後は前日終値をはさみ行ったり来たり。円安進行が止まって10時台前半は少し凹むが、上海が小幅反発で始まるとプラスに転換して高値を更新。毎朝、中国市場のご機嫌うかがいだが、この日は御三家の一角、ソフトバンクG<9984>が自社株買いを発表して急伸。上海の上げ幅拡大、ドル円の円安進行に伴って10時台のうちに16100円を突破し、11時21分に16178円の高値をつけ、前引けは144円高の16166円。

 後場は高値更新の16180円で再開。16200円台に乗せてさらに上昇するが、1時19分に前日比で300円以上高い16341円で折り返して16300円も16200円も割り込む。16100円近くまで下げて昼下がりの調整は終了。再開した上海市場は+3%前後の大幅高で推移し、日経平均は2時台にかけてほぼ16100~16200円のレンジで小動きする。しかし終盤は為替が円高に振れて日経平均も先物主導で急速に上げ幅を縮小し、大引けでかろうじてプラス引け。TOPIXは前日に続きザラ場中に乗せた1300台で終われなかった。

 日経平均終値は31.85円高の16054.43円、TOPIX終値は+4.78の1297.01。売買高は31億株、売買代金は2兆8848億円。値上がり銘柄数は965、値下がり銘柄数は873。プラスは19業種で、その上位は保険、鉄鋼、不動産、証券、鉱業、銀行など。マイナスは14業種で、その下位は食料品、電気・ガス、陸運、水産・農林、空運、金属製品など。上海総合指数は3.29%高の大幅反発だった。

 17日の日経平均は大幅反落。3連休明け16日のNYダウは222ドル高と続伸し16000ドル台を回復。NY連銀製造業景気指数は7ヵ月連続マイナスで住宅市場指数も悪かったがプラス圏を維持し、サウジ、カタール、ロシア、ベネズエラの増産凍結の決定で原油先物価格が一時31ドル台に上昇すると上げ幅を拡大した。世界的にリスクオンして金先物は下落。朝方の為替レートはドル円が114円前半、ユーロ円が127円前半で前日よりやや円高。CME先物清算値は15930円。

 前日の短期金融市場は一時マイナス金利の未体験ゾーンに突入。資金の出し手は利息をもらえず、返済時に元本が目減りして戻ってくるという倒錯した世界。1月の訪日外国人客数は52.0%増の185万1800人で、1月としては過去最高でインバウンド消費は衰えを見せない。取引時間前に発表された12月の機械受注は+4.2%で市場予測を下回った。日経平均は19円安の16035円で始まる。前日と同じで序盤は戻り売りでも小幅安どまりで16000円台を保ってプラスに浮上し、9時台のうちに16200円にタッチした。しかし100円高を超えるプラスは10時すぎまでで、10時台前半にマイナスまで急落する。ドル円レートも連動して114円を割り込み、為替を巻き込んだ先物の仕掛け売り。上海市場は小幅マイナスで始まってすぐプラスに浮上したが、日経平均は16000円割れを喫して下げ幅が100円を超え、10時41分に15935円まで下落する。その後はプラスに戻れそうでもそのたびに押し戻されて戻れず、前引けは26円安の16028円だった。

 昼休み中に。「中国が南シナ海に地対空ミサイルを配備」という地政学的リスクのニュースに反応してドル円が113円台になる円高進行で先物が急落。上海もマイナスになり、後場は安値を取って15933円で始まりさらに下落していく。15900円、15800円、15700円を割り込んで1時47分に15632円の安値をつける。その後は下げ幅を圧縮し、2時にマイナスで再開した上海市場がすぐプラスに戻って上げ幅を拡大していくと、終盤の日経平均も15700円、15800円を突破し、大幅安ながら上昇トレンドのまま時間切れ。