【積水ハウスの2016年1月期決算】中計最終年度の2017年1月期は売上も利益も過去最高更新の見通し

2016年03月12日 08:43

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3月10日、積水ハウスが2016年1月期本決算を発表した

 ■営業利益、経常利益は3期連続で過去最高更新

 3月10日、積水ハウス<1928>が2016年1月期本決算を発表した。

 2014年度比の業績は、売上高が2.8%減の1兆8588億円、営業利益が2.1%増の1496億円、経常利益が2.7%増の1605億円、当期純利益が6.6%減の843億円。売上高は減収。営業利益、経常利益は増益となり、3期連続で過去最高更新。中国事業関連など特損約100億円を計上したことで、当期純利益は減益だった。生産や物流、施工などの構造改革の効果もあり、営業利益率は2014年度の7.7%から8.1%に改善した。

 売上高は、消費増税の反動減の影響が残った戸建住宅事業の減収、都市再開発事業の大型物件売却の反動減が響いて2.8%減だったが、全体の受注高は1兆9345億円で2014年度比2.2%増。受注残高は8687億円で9.5%増と、受注は引き続き順調だ。

 2016年1月期のセグメント別の業績は、戸建住宅事業が減収減益だったが、賃貸住宅事業は増収・2ケタ増益。それらに並ぶ売上規模がある不動産フィー事業も増収・2ケタ増益だった。全体が減収になった最大の要因は前期比47.8%減の都市再開発事業。一方、大きく伸びたのがマンション事業で、その売上高は2014年度比43.7%増、営業利益は69.5%増だった。

■環境は悪くなく、受注は順調。今期の増収増益が期待できる

 2016年度は、その最終年度になる。その通期業績見通しは、売上高が6.8%増の1兆9850億円、営業利益が13.6%増の1700億円、経常利益が10.2%増の1770億円、当期純利益が31.7%増の1110億円で、営業利益、経常利益は4期連続の過去最高更新。売上高、最終利益も過去最高を見込んでいる。2016年度の配当予想は、中間配当が前期比5円増配の32円、期末配当が5円増配の32円で、合計で10円増配の64円の見込み。3月10日に発表した自社株買いを加えて、総還元率60%、平均配当性向40%の水準を維持する。

 戸建住宅事業は、雇用、所得環境の改善や、日銀の「マイナス金利政策」で住宅ローン金利も下がっているので、受注環境は決して悪くない。同日発表した2月の受注も前年同期比プラス14%と3カ月連続で前年を上回っている。

 高断熱・省エネの住まいに太陽電池・燃料電池のダブル発電を搭載したネット・ゼロ・エネルギー住宅「グリーンファースト・ゼロ」の比率は2015年度71%で、2016年度も70%を見込む。2020年に80%の達成を目指す。また、賃貸住宅事業は前期の受注高が6.4%増、受注残高が10.5%増で、受注残の多さから2016年度も業績のけん引役になると期待される。相続税改正に伴う都市部の新築需要は衰えを見せない。2月の受注でも前年同期比プラス4%と高水準の受注を確保している。

 成長投資と株主還元をバランスさせながら、7.9%だったROEを2016年度は10.3%に伸ばし、2ケタに乗せることを目指すとした。(編集担当:寺尾淳)