4月20日、三菱自動車工業が、軽自動車の型式認証取得で国土交通省に提出した燃費試験データに不正な操作があったことを公表した。同社は2000年と2004年にもリコール隠しの問題が発覚しており、三菱グループ各社の支援で再建中だった。そのさなかの不正発覚で、同社の企業体質が厳しく問われているが、今回の影響がどこまで広がるか不透明だ。
そこで今回の事態を背景に、東京商工リサーチでは三菱自動車及び同グループ各社の取引状況を調査した。同グループ各社と取引があるとみられる1次仕入先は1,356社、総従業員数は41万2,876人だった。同社と直接取引のある1,356社のうち、資本金5,000万円未満の中小企業は913社(構成比67.3%)、従業員数が50人未満は808社(同59.5%)と、大半を中小企業が占めていることがわかった。
三菱自動車グループの1次仕入先は1,356社だった。産業別では、部品メーカーなど製造業が605社(構成比44.6%)で最多。次いで、卸売業が294社(同21.6%)、サービス業他が232社(同17.1%)、運輸業が73社(同5.3%)の順だった。一方、1次販売先は1,605社で、ディーラーや車両販売店などの小売業が604社(同37.6%)と最も多く、次いで、車両リースや整備業などサービス業他が566社(同35.2%)だった。
三菱自動車グループの1次仕入先(1,356社)の業種別では、自動車部分品・附属品製造業が142社で最多。以下、自動車部分品・附属品卸売業(65社)、その他の産業機械器具卸売業(46社)、その他の自動車整備業(43社)、一般貨物自動車運送業(40社)と続く。
産業別で最も多かった製造業(605社)を業種別でみると、自動車部分品・附属品製造業のほか、金属用金型・部分品・附属品製造業(32社)、アルミ・同合金プレス製品製造業、金属プレス製品製造業(各18社)、機械工具製造業(17社)、金属工作機械製造業(13社)などである。
三菱自動車工業と同グループ各社の1次仕入先(1,356社)を資本金別でみると、「1千万円以上5千万円未満」が744社(構成比54.8%)と最も多かった。次いで、「1億円以上」が276社(同20.3%)、「5千万円以上1億円未満」が167社(同12.3%)と続く。一方、1次販売先(1,605社)では、最多が「1千万円以上5千万円未満」で779社(構成比48.5%)だった。次いで、「1百万円以上5百万円未満」が348社(同21.6%)、「5百万円以上1千万円未満」が172社(同10.7%)の順だった。
資本金5千万円未満(その他含む)の1次仕入先は全体の67.3%、1次販売先では同88.4%を占め、三菱自動車工業と同グループ各社の直接取引企業の多くは中小企業で、三菱自動車工業と同グループ企業の今後の動向は注意深く見守ることが必要だとしている。
今回の三菱自動車工業の偽装問題は、過去の重大な不正行為への反省どころかコンプライアンス意識の欠如を改めて浮き彫りにしたもので、同社の企業体質への疑念は大きいとしている。三菱自動車及び同グループ各社と取引のある企業の多くは中小企業が占めている。主力生産拠点の名古屋製作所(愛知県岡崎市)、水島製作所(岡山県倉敷市)、関連会社が所在する岐阜県では取引先を含めて多くの雇用を創出しており、同社の動向次第では地域経済や雇用などに大きな影響を与える可能性も危惧されるとしている。 (編集担当:慶尾六郎)