【今週の展望】薄商いの連休の谷間では17000円回復は期待薄

2016年05月01日 20:08

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偏っていたバランスが正常化した。4月28日の624円安をそう解釈すれば、月が5月に改まった今週は改めて出直しを期す、始まりの時。

 4月28日終値は25日移動平均の37円上で近接しているので、ボリンジャーバンドは25日線-1σの16030円と+1σの17229円のほぼど真ん中の「どニュートラル」で、上にも下にも動きやすいポジション。-2σは4月SQ値の15507円よりも低い15430円、+2σは17829円にある。

 オシレーター系指標は買われすぎシグナルも売られすぎシグナルも消灯した。25日移動平均乖離率は+0.2%、25日騰落レシオは96.2で100を割り込み、RSI(相対力指数)は60.4、RCI(順位相関指数)は+45.5、ストキャスティクス(9日Fast/%D)は62.5、ボリュームレシオは51.0、サイコロジカルラインは6勝6敗で50.0と、ニュートラルな指標が並ぶ。4月28日の624円安はテクニカル的に言えば、4月22日までの4連騰で買われすぎ方向に傾いた「やじろべえ」が、左右平衡な状態に戻ろうとする運動だった。

 4日続伸で週間騰落が+724円になった前々週末、4月22日時点の需給データは数値がけっこう好転していた。信用買い残は15日時点から1191億円減少して2兆4624億円で、3週連続マイナス。信用倍率(貸借倍率)も3.88から3.35へ2週続けて大きく低下した。信用評価損益率はマイナス8.01で15日時点の10.54から大幅減。2週間で6.36ポイントも下がり、昨年12月30日以来で今年初の1ケタ台を記録した。もっとも、裁定買い残は2週連続で増加して1739億円増の2兆390億円で、2兆円台に戻っていた。

 東証が4月28日に発表した4月18~22日の投資主体別株式売買動向によると、外国人は5320億円の買い越し、個人は4605億円の売り越し、信託銀行は698億円の売り越しだった。「需給三国志」は、個人と信託銀行の売り越し同盟軍が外国人の買い越しとほぼ均衡していた。そんな時は需給のバランスが保たれて状態が安定する。

 4日続落した前週4月25~28日のカラ売り比率をみると、25日が36.5%、26日が36.6%、27日が38.8%、28日が38.6%で、40%は超えないが後半にかけて上昇をみせていた。前週の日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)は4月25、26日は30オーバー、27、28日は30より下。4月28日終値は27.55で22日の29.09よりも低下した。もっとも、前々週はその直前に起きた熊本地震の投資家心理への影響が大きかったことを考慮する必要がありそうだ。

 テクニカル指標は、トレンド系もオシレーター系もニュートラルで上にも下にも動きやすい。前週の需給は前々週よりやや悪化したとはいえ、1~3月頃の状況に比べればけっこう改善している。4月28日の624円安を「偏っていたバランスが正常化した」と解釈すると、今週は改めて出直しを期す始まりの時と言えるだろう。「月が変わればツキも変わる」という言葉もある。

 ドル円が107円台まで円高が進んでいる為替相場が気になるところだが、4月28日終値の37円下には移動平均線で最強のサポート力を持っている25日線(16629円)があり、その下には先物のサポート力がある3月のSQ値(16586円)と、今週は16385円で一定の日足一目均衡表の雲の下限がある。300円下までにサポートラインが3本ある。テクニカル的に自律反発は期待薄だとしても624円安の翌営業日の2日には押し目買いが入りやすいだろう。もしザラ場で下押しされて一時的に雲の底を抜けたとしても、終値では雲の中に戻れるとみる。

 一方、営業日が2日間だけで、しかも連休の谷間の薄商いでは上値追いで17000円台回復はちょっと期待薄。為替レートが109円台あたりまで戻ったとしても16900円程度までだろう。それでも、2日に16727円の雲の上限を抜けてプラスで終わり、6日も続伸して雲の上に出て、もし25日線が75日線を抜く「ゴールデンクロス」が出現したら、連休明けの来週に楽しみをつなぐことができる。

 ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは16385~16900円とみる。大型連休の間にも、海外のマーケットは動き、状況は変化する。前週、日銀会合の結果という真実を突きつけられ某通信社の観測記事を軽蔑したのもそこそこに、今週は私生活でゆっくり戦士の休息をとるとしても、連休が明ければ気分を出してもう一度、世界の投資家と華麗なる対決だ。(編集担当:寺尾淳)