2月に日本銀行がマイナス金利政策を導入し、メガバンクの定期預金金利が満期1ヶ月から10年まで0.01%で並ぶという事態に陥っている。銀行の預金金利もマイナスになるかもしれないという思惑で「金庫」の売上が伸びたり、デパートでの買い物がお得になる「デパート積立」も話題になった。信用金庫やローンにも注目が集まっている。
メガバンクが預金金利の引き下げを行う一方で、熊本第一信用金庫や遠賀信用金庫、西武信用金庫などの信用金庫は定期預金の金利を引き上げている。マイナス金利の影響を危惧する地域の預金者から「預金金利もマイナスになるのか」などの問い合わせが相次ぐ中、熊本第一信用金庫は2月から「若者金利アップ定期預金」の取り扱いを開始。50歳未満の個人が50万円以上預け入れるケースでは、金利がそれまでの年0.025%から0.1%に、50歳以上の個人で100万円以上預け入れるケースでは0.08%にアップする。
遠賀信用金庫はマイナス金利が導入されたタイミングに合わせて、金利を上乗せする定期預金の取り扱いを開始。西武信用金庫も3月1日から預金金利の引き上げを行った。もともと金利が高いネット銀行にも注目が集まっている。
また、マイナス金利で自動車や教育などの「ローン」が組みやすくなるという見方もある。すでにマイナス金利を導入しているデンマークでは、住宅ローンにマイナス金利を適用した大手銀行ができ、不動産バブルのような現象が起きている。
実際に、住宅購入を検討している時に「住宅ローン金利が下がった今がチャンス」という営業トークに心を動かされた人もいるだろう。しかし、マイナス金利というインパクトに惑わされず、日本が過去何度もマイナス金利を経験しているという事実と「実質金利」にも目を向けたい。例えば、1974年は年7.75%という驚愕の高金利であったが、物価上昇率が年20%以上であったため、実質年利は大幅にマイナスだ。金利を見る時は表面金利ではなく、実質金利に注目すべきである。
住宅ローンの金利が下がったからとすぐに住宅購入に飛びつくのは危険だ。金利は購入手段に付随するものの一つにすぎず、対象物件の価値を見極めることが重要である。ローンの借り換えについても、手数料や保証料などの諸費用を踏まえ、本当に得するのかよく調べなくてはならない。(編集担当:久保田雄城)