ビックデータを活用した交通防止策を国土交通省が今年度から開始した。これは自動車に関する取り組みで、カーナビを通じて収集された走行経路、速度、急ブレーキを踏んだ位置などの情報を基にしたビックデータを用いて危険箇所を割り出して道路設備を改良、規制内容の見直しを行うものだ。ビックデータは医療や観光などの分野で活躍しているが、交通分野に進出して生活道路対策に用いられることで住民の命を救う切り札になることが期待されている。
傾向や見通しを把握するにあたり、医療や観光など各分野で活用されているビッグデータだが、交通分野でも対策が難しいとされる生活道路対策で、住民の命を救う切り札にと期待されている。
ビックデータに明確な定義はない。従来のデータベース管理では難しい記録や保管、解析といった巨大なデータのことを示す、企業向け情報システムメーカーのマーケティング用語である。単純に量が多いだけではない。さまざまな種類と形式がある非構造化データ及び非定型的データのため、日々膨れ上がる時系列性やリアルタイム性のあるようなものを示すことが多いとされている。
国土交通省が活用を始めたのはETC2・0のデータである。これは次世代型料金システムとしているものだ。道路沿いに設置されたITSスポットと呼ばれる機器の付近を通過したETC2・0搭載車から得たデータを受信し、サーバーに蓄積する。こうしたカーナビシステムを搭載した車から得るデータを分析することで急ブレーキや急ハンドルが多発した地点を割り出すこと可能となる。
国土交通省はこうした情報を自治体に提供することで、事故の防止を図りたい考えだ。担当者は「事故が起きてから対応する対症療法型から科学部防止型への転換を図りたい」とした上で「細かい道路まで分析したデータがあれば、地域の住民と対策について協議する際にも役立つ」効果に期待を寄せている。また、収集されるデータには個別の車が特定される情報は含まれないので個人情報の観点から言っても安全だ。今後の効率的な危険箇所の絞込みによって、交通事故の減少に注目が集まっている。(編集担当:久保田雄城)