27日の日経平均は3日続伸。ヨーロッパ市場は揃って3日続伸。中古住宅仮契約成約指数は+5.1%で20ヵ月連続のプラス。耐久財受注額も+3.4%と良かったが、エコノミストが注目する「コア資本財受注」はマイナス。原油先物価格は一時50ドルを超えたが、終値は49ドル台に戻って4日ぶりに反落した。金先物価格は7日続落。FRBのパウエル理事が「近い時期に利上げが適切」と発言して投資家心理を冷やす。小売業の2~4月期決算は、シアーズは赤字拡大、ダラー・ツリーは大幅増収増益、ダラー・ゼネラルも増収増益という極端な差。「安いモノほど売れるアメリカ」か? そのように強弱の要素が入り交じった上に、サミットではなく翌日のイエレンFRB議長のハーバード大学でのコメント待ちのムードが加わり、NYダウはほとんどの時間、小幅マイナス圏で低迷。終値は23ドル安で小反落した。前日夕方発表のHPの決算は純利益38%減と悪かったがNASDAQはプラス、S&P500はマイナス。朝方の為替レートはドル円が109円台後半、ユーロ円が122円台後半で円高に振れる。CME先物清算値は16875円。
安倍首相が伊勢志摩サミットの席上、各国首脳に経済情勢の「参考データ」を示し、商品市況や新興国のGDPの下落は「リーマンショック以来の水準」と説明した。以前から安倍首相は「消費増税を延期する条件は東日本大震災並みの自然災害か、リーマンショック並みの経済危機」と言っているため、「増税先送りの条件は整ったのか?」という憶測を呼び日経平均先物夜間取引は上昇した。「今どきG7サミットはマーケットの材料にならない」と言われながら、国内経済に照らして気になるところ。安倍首相は経済のハードランディングを予防する「伊勢志摩経済イニシアチブ」を提案した。
取引時間前に消費者物価指数(CPI)の発表があり、4月全国は-0.3%で102.9。2ヵ月連続マイナスだが市場予測よりも下落幅が小さかった。「コアコア指数」は+0.7の101.7。5月東京都区部は-0.5%の101.7で、デフレ脱却の道遠し。日経平均は58円高の16830円で始まる。TOPIXもプラス。16800円を割り込み9時2分に16792円の安値をつけるが、序盤の下げはそこまで。9時台は16880円付近まで上昇し、ドル円が110円にタッチすると10時10分に16900円を突破して16901円の高値をつけた。10時30分発表の1~4月の中国工業企業利益は+6.5%、4月単月では+4.2%。3月の2ケタ増から減速。上海市場は小幅マイナスで始まり、プラスにタッチする時間帯もあったがマイナス圏でけっこう変動。日経平均は16840円付近まで下落するが、そこで安定。為替も109円80~90銭台で安定する。11時台の日経平均は動きがなくなり、前引けは73円高の16846円だった。
伊勢志摩サミットは首脳宣言を採択して無事閉幕。オバマ大統領は広島に向かった。上海は何度かプラスにタッチしても午前の取引をマイナスで終了。後場の日経平均は前引けより20円ほど上げ幅を拡大して再開するが、すぐに16850円前後の水準に張りついて動かなくなる。1時30分を回るとこの日も薄商いのスキをついて先物売りがチョッカイを出すが日経平均は16800円台を割り込むことはなく、午後のさざ波。為替のドル円はほとんど変化がなかった。2時を回ると安倍内閣が消費増税先送りを「来週発表」という報道があり一時16850円付近まで上がるが、今度は為替のドル円が円高に振れて下落する。上海市場はマイナス圏で下げ幅を拡大。それでも再び16800円付近で反発。終盤は上海が下げ幅を圧縮しプラスに浮上しても、円高が進行しても反応せず16830円付近におさまり、終値は62円高の16834円で3日続伸。すでに「まぼろし」ではないが5月SQ値に届かなかった。TOPIXは反発しても1350に届かなかった。
日経平均終値は62.38円高の16834.84円、TOPIX終値は+7.06の1349.93。売買高は18億株、売買代金は1兆6581億円で今年最少。7営業日連続の2兆円割れは2014年8月のお盆休みの時期以来。値上がり銘柄数は988、値下がり銘柄数は773。プラスは28業種で、その上位は鉱業、保険、非鉄金属、鉄鋼、銀行、電気機器など。マイナスは倉庫、不動産、医薬品、小売、空運の5業種。上海総合指数は終盤プラスとマイナスを行ったり来たりした末に0.04%安だった。
今週の星取は3勝2敗。前週末20日の終値16736.35円から98.49円上昇して今週の取引を終えた。週間騰落は3週連続でプラス。「閑散に売りなし」とはいえ、伊勢志摩サミットのホスト国なのに東京市場は元気がなかった。ちょうど1年前の「破竹の12連騰」は、もう遠い過去の物語のよう。(編集担当:寺尾淳)