【今週の振返り】世界はリスクオフの白い闇に包まれて眠った

2016年02月13日 20:31

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日米欧でリスクを回避する風やまず、日本の長期金利は-0.035%まで下落。NY金先物は1263.9ドルまで上昇。為替のドル円は110円台後半まで円高進行。日経平均はザラ場で14865円まで下落した。

 8日の日経平均は5営業日ぶりの反発。5日に発表されたアメリカの1月の雇用統計の結果は、非農業部門部門雇用者数の伸びは15.1万人で市場予測の19.0万人を下回り、11、12月の数値もそれぞれ2000人下方修正された。しかし失業率は4.9%で市場予測の5.0%よりも改善。平均時給は+0.5%で市場予測の+0.3%より良く、強弱まちまち。アメリカの1月の貿易収支はほぼ市場予測通り。しかし雇用統計は3月利上げ説にトドメを刺すまでには至らずNYダウは211ドル安と売り込まれた。CME先物清算値は16560円まで低下。8日朝方の為替レートはドル円が116円台後半、ユーロ円が130円台前半。

 7日に北朝鮮が人工衛星と称して長距離弾道ミサイルの打ち上げ強行。種子島で打ち上げたらロケットでも、日頃の行いが悪い北朝鮮が打ち上げたらミサイル。地政学的リスクも加わって日経平均は199円安の16620円で始まる。5日の大引け後に発表されたトヨタ<7203>の4~12月期決算は良いのか悪いのか判断に迷うような内容だったが、売り気配でスタートし始値は175円安。日経平均は序盤に16600円を割り込んで16552円まで下げるが、その後は10時台にかけて徐々に下げ幅を圧縮し、一時プラスに浮上して10時57分に16850円まで上昇する。為替の円安が進行してドル円が117円台に乗せたことが主な材料だが、4日続落後の自律反発も入っている。上海市場は今週ずっと休場で「鬼の居ぬ間に洗濯」? 香港市場は11日から開く。11時台は小幅マイナスで推移して前引けは29円安の16790円。

 後場は前引けより少し安く始まりながら16700円台を保って1時前から上昇。16800円台に乗せてプラスに何度もタッチする。円安が117円台半ばまで進行するのに伴って1時台後半からはプラス圏で上放れし、17000円に接近。円安は全てを癒す。2時台には17000円台に乗せ、2時30分には17099円と17100円にあと1円まで迫る。終盤も17000円の大台をほぼ維持して5営業日ぶりのプラスで終了し、ようやくトンネルを抜けた。

 日経平均終値は184.71円高の17004.30円、TOPIX終値は+11.44の1380.41。売買高は27億株、売買代金は2兆5991億円。値上がり銘柄数は1464、値下がり銘柄数は407。プラスは24業種で、その上位はパルプ・紙、建設、情報・通信、海運、化学工業、倉庫など。マイナスは9業種で、その下位はガラス・土石、非鉄金属、証券、石油・石炭、精密機器、保険などだった。

 9日の日経平均は大幅反落。週明けのNYダウは金融株を中心に一時約400ドルも下げたが、終盤持ち直して終値177ドル安。ヨーロッパ市場はとっくに忘れたはずのギリシャ問題が再燃して全面安。原油先物市場は再び30ドル割れでエネルギー関連銘柄の倒産懸念も飛び出す。為替は急速な円高に見舞われドル円は一時1年3ヵ月ぶりの115円10銭台。これは人呼んで「クロダ・ゾーン」の防衛ライン。朝方はドル円は115円台後半、ユーロ円は129円台半ば。CME先物清算値は16460円。

 前日発表の1月の景気ウオッチャー調査の現状判断指数は前月比で2.1ポイント低下し2ヵ月ぶりに悪化し46.6。4~12月期の決算発表たけなわの企業業績もパッとせず日経平均は337円安の16666円で始まる。構成銘柄に値がつくにつれて16600円も16500円も16400円も16300円もどんどん割り込み、前日終値から700円以上も安い。売りがいったん止まっても16300円台にとどまり、9時台後半に下落の第2波がきてさらに安値更新。10時8分に16220円まで下げた。ドル円は「クロダ・ゾーン」をついに逸脱し114円台まで円高が進行。金価格は高騰し、リスクオフムードが強まって過去最低を更新し続けてきた長期金利は0%まで低下した。銀行セクターは大幅安で、まさに「陰の極」。前引け間際にしつこく第3波がきてドル円が再び114円台になり、日経平均は16200円を割って16159円まで下げて安値更新。前引けは836円安の16168円。

 後場は16000~16200円の範囲にほぼおさまる低空飛行。ドル円は114円台前半まで円高が進行し、債券市場で長期金利はとうとうマイナスになった。証券、銀行など金融関連セクターは総崩れ。SQ週の火曜日の「鬼門」に鬼が追加。TOPIXは昨年来安値を更新し、日経平均は2時22分に16025円のこの日の安値を更新するが、16000円の大台はなんとか死守して終えた。

 日経平均終値は918.86円安の16085.44円、TOPIX終値は-76.08の1304.33。売買高は31億株、売買代金は3兆556億円。値上がり銘柄数はたったの27、値下がり銘柄数は1904。全33業種がマイナスで、その下位は証券、銀行、海運、輸送用機器、パルプ・紙、精密機器などだった。

 10日の日経平均は大幅続落。日本の長期金利マイナスの衝撃が地球を周回しドイツDAX指数は7営業日続落。リスクオフで金先物は5営業日続伸。NYダウは12ドルの小幅安で3営業日続落。原油先物価格が27ドル台に下落しエネルギーセクターが売られ大幅安に沈んだが、経営不安の噂が流れるドイツ銀行による債権買い取りのニュースが流れて終盤はプラスの時間帯もあった。前日から麻生財務大臣ら政府要人から円高牽制発言が出て、為替のドル円は115円台と114円台を行ったり来たり。朝方はドル円は115円台前半、ユーロ円は130円近辺。CME先物清算値は16115円だった。

 前日は債券市場に振り回されたが、自律反発気味に日経平均は42円高の16127円の小反発で始まる。しかし序盤のプラスは10分たらずで長続きせずマイナスに落ち、前日まで防衛線だった16000円もあっさり割り込んで、1月の安値をさらに下回る。黒田日銀が追加緩和第2弾で安値圏にピリオドを打った2014年10月31日以来の水準で、あの時の「贈り物」の効果がまぼろしと消える。9時台のうちにドル円が114円台になると日経平均は15900円も守れず。SQ週の水曜日でこの日も「鬼門」だが、需給要因だけでは説明できない。アメリカ大統領選挙のニューハンプシャー州予備選挙は共和党はトランプ氏、民主党はサンダース氏が勝利し、行方は混沌。それを嫌気したのか前場の安値探りはなおも続き、10時41分に15626円まで下げる。それでも前引けでは15699円まで少し戻した。

 後場は前引け水準よりやや安く始まり、0時台はまだ15600円台を保っていたが、1時台に15600円を割り込んで安値をさらに更新。1時51分に15429円まで下落する。「追い証に迫られた処分売り」という哀愁を帯びた言葉も聞こえ、逆恨みのウップン晴らしなのか日本証券金融のサイトがサイバー攻撃される。その後は長期金利がマイナスを脱してプラスになり、2時台にかけて徐々に値を上げて15600円台を回復し、終盤には15700円台に乗せて安値から283円上昇し、祝日をはさんだ翌々日のマイナーSQ日に希望をつないで終えた。