今や地球規模の問題として認知されている大気汚染問題。とくに日本では、中国や韓国から飛来するPM2.5などの影響が深刻な社会問題となっている。
PM2.5は、自動車や工場、火力発電所からの排ガスに含まれる煤をはじめ、砂漠の黄砂や火山灰等、直径2.5μm以下の自然由来の微小粒子からなるもので、大気汚染の主要因といわれている。日本には偏西風に乗って飛来し、毎年、3月~5月の時期になるととくに九州などを中心にその濃度が上昇する。これを日常的に吸引することで、呼吸器官や、肺などに甚大な影響を及ぼす恐れが指摘されており、肺がんの発症リスクの上昇や、慢性気管支炎、肺気腫などの症状を悪化させるという報告もある。近年は、さらに粒子の小さいPM0.5も問題になっており、高血圧や心不全、脳梗塞を引き起こす可能性も指摘されている。
とはいえ、いくら日本国内で環境問題を訴えてはみても、発生源が他国にある以上、今すぐ発生源を根絶することはなかなか難しい。被害を受けたくなければ、自衛するしかないのが現状だ。
日常的な予防法としては、外出時のマスクの着用などがあるが、PM2.5は非常に微小の粒子状物質の為に、普通の花粉対策用などのマスクでは防げない。医療用や産業用マスク、また最近では、大王製紙<3880>ブランドのエリエールやアイリスオーヤマなどからPM2.5対策のマスクなども発売されているので、それを利用することをおすすめしたい。
ところが、PM2.5の恐ろしさは屋外だけに留まらない。微粒子は屋内にも容易に侵入してくる。家の中でまでマスクを着用するわけにはいかないので、PM2.5を防ぐためには家屋の空気浄化性能を高めることが必要になってくる。これについて、住宅メーカーの中でもとくに積極的に取り組んでいるのがパナホーム<1924>だろう。
同社の戸建住宅には、これまで医療現場や精密機器・デバイス製造工場などで利用されてきた「HEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)」を工業化住宅業界で初めて標準搭載したオリジナルの換気システム「エコナビ搭載換気システム HEPA+(プラス)」を採用しているが、昨年来、そのPM2.5の除去性能について、慶應義塾大学 医学部(化学教室)教授の井上浩義氏と共同研究を実施した。実証実住宅6邸で実生活環境における約30日間の濃度測定により効果を検証した結果、PM2.5の室内濃度が、屋外に比べて5%~16%に低減できることを実証している。
住宅も室内化学物質の揮発室内空気の揮発性有機化合物(VOC)濃度の低減に取り組み、世界で初めて、住宅で室内空気質に関する国際的な認証である「住宅向けグリーンガード認証」(認証機関: 米国の第三者安全科学機関であるUL社)を取得するなど、屋内の「空気質」対策に並々ならぬ力を注いでいる。
PM2.5は黄砂などとは違って、目に見えない。マスコミなどを通じて「情報」としての恐ろしさは知っていても、具体的でないために実感としてとらえにくいところがある。知らぬ間に取り返しのつかないような被害を受けてしまっていたなんてことにならないよう、普段の生活の中での自衛を心掛けておきたいものだ。(編集担当:藤原伊織)