パテント・リザルトは、独自に分類した繊維・紙・パルプ業界の企業を対象に、2015年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「繊維・紙・パルプ業界 他社牽制力ランキング2015」をまとめた。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになった。
集計の結果、2015年に最も引用された企業は、東レの1,732件、次いで東洋紡の656件、帝人の585件となった。以下、三菱レイヨンの556件、クラレの527件、王子ホールディングスの471件、ユニチカの315件、3Mの291件、大王製紙の284件、三菱製紙の237件と続いた。
1位東レの最も引用された特許は、「繊維強化熱可塑性樹脂成形体」に関する特許(特許第5309563号)、「ディスプレイ用フィルター」(特願2006-204255)のほか、「アクリル樹脂フィルム」に関する特許(特願2006-512757)の合計3件で、それぞれが後発の特許6件の審査過程で拒絶理由として引用されている。2015年に、東レの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は大日本印刷の51件、次いで三菱樹脂の45件、三菱レイヨンの42件と続いている。
2位東洋紡の最も引用された特許は、「光学用積層フィルム」に関する特許(特許第5119478号)で、三菱樹脂の10件の審査過程で拒絶理由として引用されている。このほかには「ポリイミド不織布」に関する特許(特願2006-172486)や、「偏光子保護フィルムを用いた液晶表示装置」に関する特許(特許第4962661号)などが引用された件数の多い特許として挙げられるという。2015年に、東洋紡の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三菱樹脂の56件、次いで東レの20件、大日本印刷、帝人の各18件となっている。
3位帝人の最も引用された特許は、「ポリカーボネート」に関する特許(特許第5415685号)および「LED照明具」(特願2011-523594)で、前者は三菱化学の6件、後者はロームやシャープ、東芝ライテックなどの合計6件の審査過程で拒絶理由としてそれぞれ引用されている。2015年に、帝人の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三菱化学の67件、次いで東レの25件、三菱樹脂の23件と続いている。(編集担当:慶尾六郎)