15日の日経平均は5営業日ぶりに反発。大衆紙「サン」もワルノリして離脱派に肩入れし、リスク回避の地球周回が続く。イングランド銀行とECBがマーケットの混乱を抑える緊急融資を決めたが、ヨーロッパ市場はロンドンが4日続落、ドイツ、フランスが5日続落。ユーロ円は一時2013年1月以来の118円台半ばまでユーロ安が進行。アメリカのVIX指数(恐怖指数)は少し低下しても金先物は5日続伸し、ドイツの10年物国債金利は初めてマイナスになった。
アメリカの経済指標は小売売上高がガソリン価格上昇とネット販売の好調さで+0.5%、中小企業楽観指数が+0.2でともに市場予測を上回るなど悪くなく、NYダウは午前中に一時プラスになったが、そこまで。金融セクターの株価が大きく下落し、原油先物価格も小幅安でさえなかったためズルズル下げ幅を拡大し終値57ドル安。NASDAQもS&P500もマイナスだった。朝方の為替レートはドル円が106円近辺、ユーロ円が118円台後半。CME先物清算値は15775円だった。
日経平均は59円安の15799円で始まる。TOPIXもマイナス。9時7分に15858円まで上昇するがプラスにはなれず、折り返して急落。9時22分に15752円まで下げる。外部環境悪化による「落ちてくる千のナイフ」はとてもつかめない。FOMCに続き日銀の金融政策決定会合も16日午前までの日程で始まった。英国発のリスクオフの連鎖を打開したくても、翌日の日米英の中央銀行イベント結果発表を前に、うかつに動けない。
そこへ10時前、「舛添東京都知事辞任」の第一報が入ると、日経平均はプラスに浮上し15900円を超え、10時9分に15909円まで上昇する。「区切りがつくと株価が上がる」とはこういうこと。参議院選挙直前で「与党に有利な材料」とみて為替のドル円も円安で反応したが、「舛添辞任効果」はたった20分限り有効で、10時15分すぎにはまたマイナスに戻ってしまった。メディアも区切りをつけて真夏の東京都知事選挙の話題に走り出す。
朝方、MSCIが新興国指数の算定で中国の株式市場の指数採用を見送るという速報が入っていた。規模は大きくても「透明性」「信頼性」が疑念あり? その上海市場はマイナスで始まるが下げ幅を圧縮して、プラスに浮上しさらに上昇。日経平均もプラスに戻り15800円台後半で動く。11時を回るとドル円レートが円安に振れ、日経平均は上値追いし16000円の大台に接近。宿便と同じように悪いものは全部出した? 11時25分に15997円まで上昇するが、前場は16000円をクリアできず前引けは114円高の15973円だった。
上海は午前中の取引をプラスで終える。後場の日経平均は前引けより高く再開するが午前の高値を超えられず16000円台回復は「おあずけ」のまま。1時台には15900円付近まで下がる。為替のドル円が午後、円高方向に振れたことも影響した。再開した上海市場はプラス圏で安定。長期金利は何度も史上最低を更新して-0.195%まで下がる。鏡の国ではこれから起こることを思い出す? 新興市場は新規IPOも再開して活況。2時台は16000円に2回迫ったが、終盤は息切れして下げ、終値は60円高の15919円だった。
4日続落で合わせて約970円下げた後でもあり、買い直された要因は他にもいろいろあるが、世界では「次の五輪開催都市TOKYOのMASUZOE知事の辞任が、リスクオフの地球周回を止めた」と受け止められるだろうか? 次の知事が4年の任期を全うすると、なんと任期満了は2020年7月24日に始まる東京五輪会期中だが、「開会式までにあと何回交代する?」がブックメーカーの賭けの対象になるかもしれない。
この日は投資家お待ちかねの新規IPO再開の日で、2件あった。福岡市が本社のホープ<6195>が東証マザーズ、福岡Qボードに新規上場。自治体が発行する広報誌、広報紙の広告スポンサー募集で自治体の財源確保を支援。後場、公開価格1400円の2.3倍の3220円の初値がついた。アトラエ<6194>が東証マザーズに新規上場。成功報酬型求人メディア、ビジネスマッチングアプリなどを企画・運営する。後場、公開価格5400円の2.35倍の12720円の初値がついた。久々の新規IPOはともに初値が公開価格の2倍を超える白星で、縁起のいい再スタートだった。
日経平均終値は60.58円高の15919.58円、TOPIX終値は+5.18の1277.11。売買高は19億株、売買代金は1兆9253億円で、6月はSQの10日以外は「20億円、2兆円」に届かない。値上がり銘柄数は1032、値下がり銘柄数は767。プラスは22業種で、その上位は保険、輸送用機器、電気機器、その他金融、ガラス・土石、証券など。マイナスは11業種で、その下位は電気・ガス、建設、石油・石炭、卸売、金属製品、陸運など。上海総合指数は1.58%高だった。
16日の日経平均は大幅反落。英国のオズボーン財務相が「EU離脱を選択した場合、追加緊縮策を導入する」と表明。英国の失業率は5.0%で市場予測の5.1%より低下。ヨーロッパではドイツと並んで良い方の部類に入り、フランスの半分、スペインの4分の1だが、それでも不満をEUにぶつけるのか? ヨーロッパ市場は揃って反発。アメリカの経済指標は強弱まちまち。生産者物価指数(PPI)は+0.4%で市場予測+0.3%を上回った。2ヵ月連続のプラス。NY連銀製造業景気指数は+6.01で5月の-9.02から大幅改善し2ヵ月ぶりのプラス。市場予測の-4.90を大きく上回った。鉱工業生産指数は-0.4%で市場予測の-0.2%を下回った。自動車が悪い。設備稼働率は74.9%で市場予測の75.2%より悪かった。原油先物価格は5日続落した。
注目の連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が発表され、結果は予想通り6月の利上げは見送り。足元のアメリカ国内の経済情勢については「経済活動は上向いたようだ」と評価しても、労働市場は「少し弱さが見られる」と雇用統計の失業率の低下を評価しなかった。世界経済は「ぜい弱さが残っている」とし、英国のEU離脱のリスクにも言及。全般的にみてハト派寄り。声明文では「年2回の利上げ」の見通しを維持したが、FOMCメンバーそれぞれの見方は年2回が多数派でも年1回が増えていた。声明文で7月の利上げを示唆するニュアンスはなかったが、直後のイエレンFRB議長の記者会見では「7月利上げは不可能とはいえない」という発言が飛び出し、解釈が分かれそうだ。
午前中からプラスだったNYダウは結果発表から下げ続け、終盤マイナスになり34ドル安で5営業日続落。NASDAQ、S&P500もマイナスだった。長期金利は低下。金先物は6日続伸。為替は声明文発表直後に一時ドル円105円台前半までドル安が進んだが、イエレン議長の会見で持ち直し、朝方の為替レートはドル円が106円近辺、ユーロ円が119円台前半。CME先物清算値は15865円だった。