【今週の振り返り】リスク回避の円高を受けて1001円下落した週

2016年06月18日 20:27

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3月15日ではなく、6月23日に気をつけろ。英国のリスクを恐れ、世界最大の下落幅。東京市場という名の悲劇は、いつ幕を引く?「『今が最悪の状態』と言える間は、まだ最悪の状態ではない」(『リア王』)

 前日大引け後、政府観光局が発表した5月の訪日外国人客数は前年同月比+15.3%の189.4万人で5月としては過去最高。しかし伸び率は4月の+18.0%から縮小した。熊本地震の影響で韓国から九州への旅行が減ったと説明されている。国別は中国が最多で+31.0%、2位は台湾で+10.5%、韓国は-4.2%。

 日経平均は48円安の15871円で始まる。TOPIXもマイナス。序盤は乱高下。9時2分に15861円まで下げた後、上昇して15900円を突破。いったん下げた後、9時15分に15913円まで上昇。しかしそこから為替の円高を伴う先物主導の売り崩しが始まり、9時43分に15781円まで下落する。ドル円の円高は105円台半ばまで進む。10時台は為替の円高進行も落ち着き、日経平均はおおむね15700円台後半で下げ止まったかのように見えた。上海のディズニーランドがオープンしたが、上海市場はマイナスで始まりご祝儀ムードなし。ディズニー本社もフロリダ州オーランドのディズニーワールド付属のリゾートホテルで2歳の子どもが人工湖のワニに食い殺される事件が起きて株価急落。11時台の日経平均は15700円を割り込んで11時21分に15695円まで下げた。いつもはわずかでも期待がある日銀会合の結果発表前にこれだけ軟調になるのは珍しく、もはや日銀がやることに「夢も希望もない」のか? 前引けは174円安の15744円だった。

 11時50分すぎ、日銀会合の結果が早々と出て、大方の予想通り「金融政策現状維持」。直後に為替のドル円は円高が急進して104円台半ばになり、2014年9月以来の水準。日経平均先物日中取引は15460円まで下落した。上海市場はマイナスのまま午前の取引を終える。後場の日経平均は15600円を割り込む326円安の15593円と安値を更新して再開。0時台はいったん15600円台に戻るが、1時台には再び安値更新。5月のマンション市場動向調査が発表され、首都圏の新築マンション発売戸数は-14.1%で6カ月連続減。月間契約率は-0.2ポイントの70.9%。近畿圏は-25.9%、月間契約率は-10.7ポイントの64.5%と、低調だった。

 日経平均は日銀会合の結果発表から2時間経過して15500円を割っても下げ止まらず、イベント通過が区切りにならない。わずか4日でここまで下げると「追証」がらみの投げ売りが出て、立ち直りまで時間がかかってしまう。沖縄県が梅雨明けしても兜町は天気も株価もじめじめ。再開した上海市場はプラスになりそうでなれない。ドル円は反転の兆しなく、104円台をかろうじて保つ有り様。2時を回ってもどこまで続くぬかるみぞ。先物は先に15400円を割り、現物も2時31分に15385円をつける。2月15日以来の安値水準。前週末10日の終値からの下落幅が1200円を超える。北海道南部、函館市で地震6弱があり、泣きっ面に蜂。新幹線は止まっていない。終盤は15400円台をかろうじて保ち、終値は485円安の15434円だった。

 新規IPOが1件。和歌山市が本社の農業総合研究所<3541>が東証マザーズに新規上場。スーパーなどで委託販売を行うための物流、情報、決済のプラットフォームを農業者、産直業者に提供する。アベノミクスが力を入れる農業関連銘柄。公開価格1050円より78.0%高い1870円の初値がついた。IPO再開後初値3連勝。

 日経平均終値は485.44円安の15434.14円、TOPIX終値は-35.55の1241.56。売買高は22億株、売買代金は2兆1355億円で10日のメジャーSQ日以来4営業日ぶりの大台回復。商いは売りばかり盛り上がった。値上がり銘柄数は57、値下がり銘柄数は1883。全33業種がマイナスで、その下位は不動産、非鉄金属、ガラス・土石、ゴム製品、その他金融、機械など。上海総合指数は0.49%安だった。

 17日の日経平均は反発。イングランド銀行(BOE)は政策金利を据え置き。23日は国民投票の結果次第で対応に追われることだろう。ところが、リーズ近郊でEU離脱支持派の男が残留支持派のコックス下院議員を射殺する事件が発生。「離脱派は人殺し」のイメージがつくと浮動票の行方に影響する。102年前の「サラエボの銃弾」は世界を第一次世界大戦に巻き込んだが、「リーズの銃弾」で世界のマーケットは破滅を回避できるかもしれない。まるで映画のような展開で、事態は思わぬ方向に動いた。

 ヨーロッパ市場は揃って下落したが事件発生後に下げ幅を圧縮。NYダウも原油先物価格の下落で安く始まったが事件発生後プラスに浮上し終値は92ドル高で6営業日ぶりに反発。NASDAQもS&P500もプラスで終えた。アメリカの経済指標はおおむね好調。消費者物価指数(CPI)は+0.2%で3ヵ月連続上昇。ガソリン価格がその主役。フィラデルフィア連銀景気指数は+4.7で市場予測を上回った。1~3月期の経常収支は赤字額が9.9%増加。新規失業保険申請件数は+1.3万人だが依然低水準。NAHB住宅市場指数は市場予測を上回った。原油先物価格終値は46ドル台に下落。金先物価格は7日続伸。

 前日の大引け後に2014年8月以来の103円台半ばまで円高が進行。菅官房長官がけん制発言をしても効果がなかったが、英国の下院議員射殺事件発生で値を戻し朝方の為替レートはドル円が104円台半ば、ユーロ円は117円台前半。CME先物清算値は15565円。

 取引開始前に発表された3月末現在の日本の家計部門の金融資産総額は1706兆円。前年同期比0.6%減。政府は月例経済報告で国内景気の基調判断を「このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」に据え置き。ソフトバンクG<9984>がフィンランドのゲーム会社スーパーセルを中国のテンセントに売却するというニュース速報。麻生財務大臣が円高について「投機的な動きを憂慮している」と表明し、午前中に財務省、金融庁、日銀が情報交換会合を開いた。