名車概論/「オートモビル・カウンシル」でアピールした50周年「COROLLA 50」初代モデル

2016年08月13日 20:19

COROLLA 50

「第1回AUTOMOBILE COUNCIL/オートモビル・カウンシル2016」で展示された、1966年デビューのKE10D型初代「トヨタ・カローラ」

 いまから50年前、ザ・ビートルズが来日し鮮烈な日本公演をした1966年、画期的な国産セダンがデビューした。KE10D型「トヨタ・カローラ」だ。60年代、急成長する国内の自動車市場に対応すべく、800ccの大衆車パブリカと1.5リッターのファミリーセダンであるコロナとの間を埋めるために登場したトヨタを代表するハイ・コンパクトカーだ。

 初代モデルは、「人目をひく、美しいスタイル」をイメージして「カローラ(ラテン語で“花の冠”の意)」と命名。以来、時代とともに紆余曲折ありながら、さまざま進化を遂げ、今年10月で生誕50年を迎える。

 初代カローラは、クルマのあらゆる面で80点以上を実現するというトヨタの「80点主義+α」の発想のもと開発された。当初から、そのキャラクターは「良くできた普通」、つまりその時代ごとの基準から見て常に手堅く中庸な設計で、ユーザーの志向に応え装備類の充実を図り、派生モデルの開発を行なった。その結果、国産コンパクトとして、日本国内市場だけでなく、グローバル市場でも大成功した希有なモデルだ。

 当時、優れた走りのイメージを狙い、「プラス100ccの余裕」というライバル「日産サニー」を想定した刺激的なキャッチコピーとともにデビューした。また、「スポーティなイメージ」を追求した「赤色」の内装を組み合わせ、車名の由来である「花の冠」をモチーフにしたエンブレムをつけた。

 ボディサイズは、ライバルたる日産サニーの全長×全幅×全高3820×1445×1345mmを僅かに上回る全長×全幅×全高3845×1485×1380mm、ホイールベース2285mmの2ドアセダンだ。

 このカローラに搭載されたエンジンは新開発のK型と呼ばれ、その後、排気量を拡大しながら改良を続けて80年代までトヨタ車に搭載された。デビュー当時のスペックは、水冷1.1リッター気筒OHVから最高出力60ps/6000rpm、最大トルク8.5kg.m/3800rpmを発揮していた。ライバルであるサニーの1000ccエンジンの56ps/7.7kg.mを上回る“ゆとり”が、現在の軽自動車よりも軽い車重710kgのカローラに優位性をもたらすことになる。

 組み合わせるトランスミッションも3速コラムのマニュアルを採用するサニーに対し、前席セパレートシートの間から伸びる4速フロアシフトを採用したカローラは若々しくスポーティな雰囲気を持っていた。

 初代カローラは当初2ドアセダンだけでスタートしたが、翌年に4ドアセダンとバンが追加される。と同時に、オートマティック・トランスミッション「トヨグライド」を搭載した2ペダル車が追加される。このクラッチから解放された“ノークラ車”の「トヨグライド」は高級車の象徴で、当時は同社の最高級車クラウンに搭載されていただけだった。

 また、1968年のマイナーチェンジで排気量を1.2リッターに拡大。SUツインキャブ仕様の高出力エンジンを搭載したSL(スポーツ&ラグジュアリー)グレードを追加。同時にスタイリッシュなファーストバックスタイルのクーペ「カローラ・スプリンター」が加わり、ワイドバリエーション体制を整えた。

 先般、千葉・幕張メッセで開催された日本初のヘリテージ・カーのイベント「第1回AUTOMOBILE COUNCIL/オートモビル・カウンシル2016」で、トヨタは全面的に「カローラ50年」をフィーチャーし、イベントを盛り上げた。秋に向けてカローラ系販売店でもさまざまなイベントが開催される見込み。

 また、現在の11代目にあたるカローラ・アクシオに生誕50年を記念した特別仕様車 HYBRID G“50 Limited(ゴーマル リミテッド)”を設定し、全国の正規販売店「トヨタ・カローラ店」を通じて、9月1日より500台限定で発売する。(編集担当:吉田恒)