【工業用ゴム製品業界の2016年4~6月期決算】四半期業績も通期見通しもまちまちだが、株主還元を重視する姿勢はほぼ共通

2016年08月14日 10:07

 ■今期見通しは減収が大勢だが最終2ケタ増益も3社ある

 2017年3月期の業績見通しは、住友理工の売上高は3.4%減、営業利益は4.9%増、税引前利益は5.1%増、当期利益は39.2%増、最終当期利益は72.4%増という減収、最終大幅増益。予想年間配当は1円増配して19円で、修正はなし。2020年度を最終年度とする中期経営計画「2020年住友理工グループVision(2020V)」を策定した。「自動車」「インフラ」「エレクトロニクス」「住環境・健康介護」の4分野に注力し、「着実な成長と体質強化」による収益力の向上を推進する。

 日本ゼオンは売上高5.3%減、営業利益6.2%減、経常利益12.9%減、当期純利益5.1%増の減収、最終増益。予想期末配当は1円増配して16円で修正なし。

 バンドー化学は売上高0.8%増、営業利益0.7%増、経常利益0.6%増、当期純利益2.6%増で、最終増益以外はほぼ横ばいの見通しに修正はなかった。前期と同じ12円の予想年間配当も変わらない。

 西川ゴム工業は8月9日、熊本地震の影響で見送っていた2017年3月期通期の業績予想、年間配当予想を開示した。売上高は2.3%減、営業利益は17.6%増、経常利益は25.5%の増益、当期純損益は70億円の赤字。年間配当は36円で前期から据え置き。最終赤字の要因はアメリカ司法省に支払う約134億円の罰金の特別損失計上だが、配当は前期と同額を支払い、株主還元を重視する。

 鬼怒川ゴム工業は売上高4.0%減、営業利益7.9%減、経常利益3.8%増、当期純利益11.0%増の減収、最終2ケタ増益の業績見通し、無配の予想年間配当ともども修正なし。3月11日に日本政策投資銀行のTOB(株式公開買い付け)を受け入れてその完全子会社になると発表しており、無配はそのため。TOB期間は7月19日から8月30日までで、時期は未定だが今期中に上場廃止になる見通し。

 フコクは売上高0.4%増、営業利益2.2%増、経常利益3.8%増、当期純利益11.7%増の増収、最終2ケタ増益の業績見通しも、前期と同じ20円の予想年間配当も修正なし。7~9月期以降の業績挽回を期している。

 三ツ星ベルトは売上高1.6%減、営業利益13.5%減、経常利益14.0%減、当期純利益8.6%減の減収減益見通しも、前期と同じ18円の予想年間配当も修正していない。(編集担当:寺尾淳)