【今週の振り返り】日銀追加緩和を一応評価して234円上昇した週

2016年09月24日 10:12

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日銀会合は債券オペ中心の追加緩和で、マイナス金利の深掘りはなし。FOMCは利上げを12月まで見送った。日本株にとっては、ひとまず安心の結果

 日経平均終値は315.47円高の16807.62円、TOPIX終値は+35.70の1352.67。売買高は25億株、売買代金は2兆7152億円の大商いで、「ETF年間買入枠ほぼ倍増」の前回の日銀会合の結果が出た7月29日以来の水準。値上がり銘柄数は1837、値下がり銘柄数は108。全業種がプラスで、上位は銀行、保険、証券、海運、その他金融、不動産など日銀プレイセクターが揃い踏み。中でも健闘したのが地方銀行だった。上海総合指数は0.09%高。

 23日の日経平均は反落。21日(アメリカ時間)発表のFOMCの結果は「政策金利引き上げは見送り」。イエレンFRB議長の記者会見では、景気の現状認識は賃金、雇用は良いものの生産、企業投資が悪く、商業不動産価格、物価(インフレ率)も停滞していて景気は過熱しておらず、いま利上げを見送っても後手には回らないという判断理由。それでも見通しは「年内1回、来年2回」で年内利上げの方針は変わらない。NYダウは素直に好感し163ドル高。NASDAQ、S&P500はダウを超える上昇率で、原油先物価格も上昇した。NY時間でドル安円高が進行し為替のドル円は100円台前半、ユーロ円は112円台前半。CME先物清算値は16570円、大阪先物夜間取引終値は16490円で、配当権利落ち分110~120円を足すと16600~16690円。

 22日午後に休日返上で財務省、金融庁、日銀が三者会合を開いた。財務省の浅川雅嗣財務官は記者団に「憂慮している。いつも以上に注意を払いながらじっくり市場動向を見極め、投機的な動きが今後も継続するようなら必要な対応を取らざるを得ない」と円高をけん制する発言。100円割れ寸前だったドル円は100円台後半まで円安が進行。22日の上海総合指数は0.54%高。

 22日のNYダウは98ドル高。NASDAQもプラス。FOMCの結果を好感してヨーロッパ市場も高く、株高が地球を周回。長期金利は低下。在庫不足が原因で中古住宅販売が悪く、シカゴ連銀全米活動指数もマイナスに落ちたが、新規失業保険申請件数は改善し原油先物の46ドル台回復も追い風。大阪取引所は休場。CME先物清算値は16770円で、予想配当権利落ち分110~120円を足すと16880~16890円で、円高なのに高水準。22日朝方の為替レートはドル円が100円台後半、ユーロ円が113円近辺。

 日経平均始値は47円安の16759円。高値は11時1分の16808円。安値は9時6分の16725円。終値は53円安の16754円。21日大引け後発表の8月の全国百貨店売上高は既存店ベース-6.0%で、6ヵ月連続で前年実績を下回った。訪日客向け免税売上高は-26.6%で5ヵ月連続前年実績割れ。客数が5.9%伸びても客単価は30.7%も低下している。8月の訪日外国人客数は前年同月比+12.8%の204万9000人で、8月としては過去最高。純粋に観光を楽しむ目的で日本に来る人が増えているなら、それはそれで結構なこと。

 日米中央銀行イベントを通過した連休の谷間の営業日はマイナスで始まるが、開始6分後に16725円で下げ止まって9時台のうちに16700円台後半に上昇し16800円に迫る。10時台にも16800円に迫ってははね返されるが、ドル円が101円にタッチすると、11時直前には突破でき一時はプラスにも浮上した。11時台はドル円が101円付近で停滞すると16700円台後半に押し戻され、前引けはマイナス。TOPIXもマイナスだが、下げ幅が小さいので日銀のETF買い入れ733億円が入るかどうか、微妙なところ。

 後場は前引け水準で再開するが、16800円にタッチしてもプラスにはタッチできないまま16700円台後半で2時台後半まで引っ張り、-50円以内の小幅マイナス圏で推移する。ドル円は101円台前半で安定。それでもさすがに「利益確定売りの金曜日」なので終盤には下げたが、16740円付近で下げ止まった。結局反落で終了。TOPIXは4営業日ぶりの反落。円高の進行で先物日中取引は安値引け。日銀のETF買いは入らなかった。

 日経平均終値は53.60円安の16754.02円、TOPIX終値は-3.11の1349.56。売買高は19億株、売買代金は2兆2327億円。値上がり銘柄数は1246、値下がり銘柄数は596。プラスは17業種で、上位は鉱業、海運、建設、情報・通信、卸売、陸運など。マイナスは16業種で、下位は証券、輸送用機器、保険、銀行、不動産、その他金融など21日に上昇していたセクターが主体。上海総合指数は0.27%安だった。

 今週の星取は1勝2敗。負け越しでも前週末16日の終値16519.29円から234.73円上昇して今週の取引を終えた。日米の中央銀行イベントを経て日経平均は上昇し、21日と23日に16800円台にタッチ。「イベントは、通過することそれ自体に意義がある」で、マーケットも「やれやれ終わった」と区切りをつけ、中間期権利確定イベント、ノーベル賞発表、小売大手の中間決算、JR九州の新規上場などが待つ次のタームに入っていける。(編集担当:寺尾淳)