政務活動費の不正受給が相次ぎ、地方自治体議員の辞職も相次いでいることから、政務活動費の適正使用へ、総務省自治行政局長が、都道府県知事や議会議長、指定都市市長や議会議長に異例の通知を9月30日発出した。都道府県知事や議長には、市区町村への周知を行うようにも求めた。
理事者側をチェックする議員が、チェックされなければならない「倫理観」しか持ち合わせていない憂慮すべき事態。こうした問題を引き起こしている議員は、極々一部であることを願う。
そのうえで、政務活動費が適正に使われるために(1)領収書は、原本以外認めない(2)ネットで誰でも閲覧できるシステムにする(3)議長と議会事務局長による3カ月に1度のチェックのほか、半年に1度、第3者によるチェックを行い、監査結果をネットで公開する。
(4)政務活動費は事前に議員に預けないで、一端、議員に立て替え払いしてもらい、事後に領収書をつけて請求してもらった分を精算する(5)先進地視察などの場合には、報告書を提出してもらい、ネットでレポートを公表する。
最低限、こうした仕組みにしておくことが不正や不適正使用を防止することになる。是非、全国自治体で遂行してほしい。
一方、議員の政務活動費不正受給問題とともに、相次いで問題になっているのが、政務活動費の情報公開請求を申請した報道機関や記者名を、議会事務局職員が議員らに伝えるケースが相次いでいることだ。
総務省自治行政局長は「開示請求者に関する個人情報などについて、みだりに第3者に提供する不適切な運用と考えられる事案が相次いで判明している」とし「開示請求者の情報が公になれば、開示請求の萎縮や情報公開制度への信頼性の低下につながる恐れがあり、留意する必要がある」と注意を促し、情報公開条例・個人情報保護条例など関係法令の適切な取り扱いの徹底を同時に要請した。
議会事務局長や議会職員は、市長部局の「政策推進の立場」の職員でなく、理事者をチェックする立場の職員として働くことになるので、議員との日頃の距離感や信頼関係から、半ば無意識に「情報公開請求が出ていますよ」と言ってしまったりする。不正があれば、それを聞いた議員は、領収書も含め、関係者と口裏合わせをしたり、証拠隠滅を図るなどする可能性も否定できない。
職員は議員との距離感を常に意識しておく必要がある。減給などの懲戒処分も検討し、意識づけした方が良いかもしれない。
今回の通知は議員、職員ともに、自らの立ち位置、役割を自覚し、職責を果たすよう自覚を求めたものといえよう。「初心忘れず」地域発展のために職責を果たしてほしいと願う。(編集担当:森高龍二)