15年度のアパレル関連企業年売上高合計は前年度比3.5%増の11兆2,934 億3,300万円

2016年10月07日 07:43

 急激に進んだ円安がピークを迎えたのが 2015年5月。その後、年末から2016 年にかけて1ドル=100円程度まで円高が進んだものの、アパレル関連企業の 2015年度決算に大きな影響を及ぼしたのは間違いない。海外生産の多いアパレル関連企業の倒産動向を見ても、2016年は8月までに205件が発生、前年同期比6.8%の増加となっており、厳しい経営状況が続いている。帝国データバンクは、2013年度~2015年度のアパレル関連企業の業績・財務について、調査・分析した。

 アパレル関連企業1万6,658社の2015年度の年売上高合計は、11兆2,934 億3,300万円で、前年度比3.5%増加した。業態別に見ると、「小売」が6兆1,205 億3,700万円と前年度比8.0%増加したのに対して、「卸」が5 兆1,728億9,600 万円と前年度比1.3%減少した。「卸」に含まれる、百貨店などを主力販売先に持つ大手総合アパレルが軒並み減収となっており、その影響から、「卸」全体でも減収となっている。その一方で、ユニクロやしまむらなどのファストファッションやユナイテッドアローズなどのセレクトショップが堅調な「小売」では伸びが大きかった。

 2015年度の売上高が50億円以上で、過去3期分の利益が比較可能な226社の当期純損益の状況は、黒字企業が180社(構成比79.6%)に対して、赤字企業は46社(同20.4%)となった。業態別に見ると、「小売」で2014年度以降赤字企業の割合が2割台で推移しており、「卸」に比べて高くなっている。円安や中国の人件費高騰によるコスト増、暖冬に伴うセール販売の増加などが本業の利益を押し下げたケースのほか、特に「小売」大手では、不採算店舗の撤退に伴う特別損失の計上により、当期純損失を余儀なくされるケースが目立つ。

 1万6,658社を地域別に分析すると、2015年度は9地域中5地域で減収となった。落ち込みが最も大きかったのは「四国」で前年度比3.1%の減少。以下「中部」(前年度比1.9%減)、「北陸」(同1.3%減)という結果になった。一方で「関東」は前年度比6.8%増と売上高の伸びが目立った。このほか、「北海道」「中国」「九州」で増収となった。

 アパレル関連企業の2015年度決算は、円高や暖冬の影響が色濃く表れた厳しい内容となった。円安がピークを迎えたのは2015年5月で、1ドル=124 円。しかし、昨年末以降は円高に振れており、円安が決算に与える悪影響は一巡したといっていい。その一方で、昨年末以降に進んだ円高から多額のデリバティブ評価損の計上を余儀なくされるケースも見られ、不安定な環境が続いている。

 加えて、依然として盛り上がりに欠ける個人消費など、アパレル関連企業を取り巻く経営環境は厳しい状態が続いているという。インターネット通販など新たな流通チャネルが市場規模を拡大するなか、百貨店やショッピングセンターを主な得意先とする既存の総合アパレルメーカーの業績悪化も目立つ。アパレル関連企業の倒産が引き続き増加傾向にあることからも、2016 年度についても厳しい業績を強いられる可能性が高いとしている。(編集担当:慶尾六郎)