国内AGV市場 15年度は前年度比22.3%増の94億2,700万円、16年度も8.8%増102億5,700万円の見込み

2016年10月18日 07:03

 矢野経済研究所では、国内のAGV(無人搬送車)市場の調査を実施した。調査期間は2016年7月~9月、調査対象は国内のAGVメーカやその技術開発に取り組む企業、関連団体、関係省庁等。調査方法は同社専門研究員による直接面談を中心に、電話・e-mailによるヒアリング、文献調査を併用した。

 この調査におけるAGV(無人搬送車)とは、レールを敷設しない無軌道式のAGVをさし、荷物積載タイプや荷物牽引タイプのAGVとともに、無人フォークリフト(AGF:Automated Guided Forklift)も対象に含む。また、AGV単体の他、搬送システムの一部構成機器や駆動キットなどで利用されるAGVも対象とするが、有軌道式AGVについては含まない。

 それによると、国内AGV市場規模(メーカ出荷金額ベース)は、景気回復とともに拡大する傾向にあり、2015年度は94億2,700万円で前年度比22.3%増、2016年度も102億5,700万円と同8.8%増の見込みであるという。この要因は、国内の景気回復に伴いAGVの需要が拡大したことにあり、特に2015年度は一部のユーザでまとまって導入されたことが市場を押し上げている。2016年度も拡大傾向にあるが、円高傾向も見られるなど不安材料もあるとしている。

 また、今後のAGV需要拡大のカギを握るのは、これまでAGV未導入の新規ユーザ開拓となるという。主流を占めるFA向けから物流・倉庫向け、小売業向けの用途に新たな期待が集まるが、新規ユーザではこれまでAGVの使用経験が無いだけに、どのようにAGVを応用させるかの判断はできにくく、この点で技術者もいてAGVの応用を自社で検討できる製造業のユーザとは大きく異なる。安全対策は規格化されているが、新規需要開拓には用途に応じた、細やかな安全対策が求められているとしている。

 FA向け需要が徐々に伸び悩む中で、AGVメーカの新規需要開拓が少しずつ顕在化することで、新規需要が徐々に立ち上がり、2019年度の国内AGV(無人搬送車)市場規模(メーカ出荷金額ベース)は112億9,000万円になると予測する。同社では、新規需要を開拓するためには、AGVメーカからのユーザへの積極的な働きかけと採用現場に即したメリットのある提案が求められ、製造現場以外をターゲットとするAGVメーカの新規展開がカギを握ると考えるとしている。(編集担当:慶尾六郎)