9月の「東日本大震災」関連倒産は4件 収束傾向が続く

2016年10月09日 08:07

 東京商工リサーチによると、2016年9月の「東日本大震災」関連倒産は4件(速報値:9月30日現在、前年同月11件)だった。速報値だが、2016年3月以降7カ月連続で1桁台で推移し、収束傾向が続いているという。ただし、震災発生から5年半を経過して累計件数は1,752件(9月30日現在)に達した。

 9月の倒産事例としては、スズキ印刷(TSR企業コード:018579183、法人番号:1380002034148、福島県)がある。同社は、名刺、チラシ、パンフレットなどの印刷を手掛けていた。しかし、東日本大震災での原発事故による風評被害から売上高低迷に拍車がかかり、平成27年5月期の売上高は約3,300万円にとどまった。営業赤字ながらも東京電力からの賠償金で補てんされ経営を維持してきたが、賠償金の打ち切りが想定される中で、先行きの見通し難から事業継続を断念して破産を申請した。

 震災関連倒産は1桁台が続き収束傾向が目立つ。こうしたなか、震災前の業績水準に回復しない企業もまだ多く、震災の傷痕の深さを物語った。2016年9月の地区別は、関東3件、東北1件だった。

 「震災関連」倒産の累計1,752件を都道府県別でみると、最多は東京の536件(9月2件)。次いで、宮城142件、北海道83件、神奈川71件、福岡70件、千葉68件、岩手67件、茨城65件、群馬58件、栃木52件、静岡48件、福島47件、山形46件、大阪44件、埼玉43件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は356件(構成比20.3%)だった。

 「震災関連」倒産の累計1,752件を産業別でみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の464件(9月2件)。次いで、製造業が394件(同1件)、卸売業が323件、建設業が215件、小売業が161件と続く。

 被害型で分類すると、「間接型」1,599件(構成比91.2%)に対して、「直接型」は153件(同8.7%)だった。9月は「直接型」が発生なしだったという。(編集担当:慶尾六郎)