経済産業省は情報通信技術(ICT)を活用したリモートワークの導入及び、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を活用した国会答弁集作成の高度化を検討。いずれも2017年の次期通常国会から本格導入したい考え。
経済産業省は情報通信技術(ICT)を活用したリモートワークの導入及び、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を活用した国会答弁集作成の高度化を検討。いずれも2017年の次期通常国会から本格導入したい考えだ。リモートワークでは国会質疑対応で待機する職員の残業時間削減を目指す。国会の委員会での質疑では、質問要旨通告から担当者とのすり合わせ、答弁作成まで数時間を要することもあり、その間待ち時間が生じる。通告が遅くなるほど、また質問数が多いほど待機が増え、数百人が待機することもあるという。こうした待機による残業時間からの長時間労働是正のためにリモートワークが活用される。
強固なセキュリティーを持つクラウド環境を通じて、タブレット端末などから答弁入力や自宅などでの閲覧、追加で必要となるデータや疑問点の入力を行いリモートで担当者がこれに応じる。次期通常国会以降、答弁作成に全面的にリモートワークを導入する意向。国会答弁集作成の高度化では、過去の国会答弁データベースをAIに学習させ最適な回答を導き出す。それ以外でもテレビ会議などのICT利用を推進し、経産省が先陣を切ってリモートワークとRPAを活用した就業構造の転換を図る。
ICT環境が整備されていれば職種や職業内容によっては必ずしもオフィスで仕事をする必要がない。多様な働き方が奨励される現代において、生産性の向上や家事・育児・介護と仕事との両立の手段としてリモートワークが注目されている。リクルートホールディングスが今年1月より、全ての従業員を対象として上限日数のないリモートワークを導入し話題を呼んだが、一般的にはその認知度はまだまだ高くないようだ。フロンティアコンサルティングが10月に実施した調査によれば「リモートワーク」という言葉の意味に対して約半数(48.8%)が「聞いたことはない」と回答している。一方で場所や時間を選択できる自由な働き方を行いたいと思うかとの質問に対して、「とてもしたい」または「ややしたい」と答えた人が計61.5%いた。
総務省の実施した「通信利用動向調査」によれば、企業におけるリモートワーク導入率は15年の段階で16.1%にとどまっておりまだまだ一般的になっているとは言い難い。経産省のリモートワーク導入と成功が一般の人への認知や企業の導入のきっかけとなることが期待される。(編集担当:久保田雄城)