中部経済新聞、日本初のAI記者による新聞記事を掲載 記事はAIが作成する時代へ

2016年11月19日 10:25

画.中部経済新聞、日本初のAI記者による新聞記事を掲載 記事はAIが作成する時代へ

2016年11月1日の中部経済新聞にAI記者による新聞記事が掲載された。(画像はイメージ)

 2016年11月1日の中部経済新聞にAI記者による新聞記事が掲載された。AIを使用した新聞記事生成プロジェクトは、中部経済新聞社の創刊70周年記念企画としてのチャレンジで、AIカンバセーション技術開発を手掛けるデータセクションの技術提供によるもの。教師データとして過去の大量の新聞記事を読み込ませ、AIが記者の文体等を学習。冒頭のワードを指定することで、過去の新聞記事データから続く文章を生成したとのこと。

 日本ではまだ実用例が少ないAIによる記事生成だが、海外ではすでにスポーツ記事などをAI記者により生成している。米AP通信社がデータ分析や自然言語生成を使用した記事の自動作成を行っていることはよく知られており、AIは3ケ月で3000記事を作成している。活用されているAIは米Automated Insightsの提供する「Wordsmith」で、同技術を活用することで理論的には1秒間で2000記事の執筆が可能とのこと。英国の通信社プレス・アソシエーションも記事執筆にAI導入を検討しているとのこと。

 日本においても6月より、気象情報大手のウェザーニュースがAIを天気予報の記事作成業務に導入しているが、適用範囲は一部の記事に限られている。日本語での記事作成の完全自動化が普及していない要因は、自然言語処理の難易度の高さからだ。同じAIでの機械学習でも画像解析の技術は格段に進歩しており、すでにAIの能力は人間を超えている。一方、自然言語処理に関しては、英語ですら言語処理のためのデータベース作成に苦戦している状況だ。AIにより半自動で生成された日本語小説のレベルからも、日本語文章生成の実用化は限定的だとする意見もある。ただ、自然言語処理技術に関しては日進月歩で向上しており、テキスト中のハイレベルのコンセプトの理解や文章の分類、背後にある意図の解釈などの分野ではかなりの精度で実用化がなされている。また、直近ではGoogle翻訳の方式がニューラルネット機械翻訳に変わり、自然な翻訳文章が読めるようになった。1つ技術革新が起こると周辺分野での技術向上が一足飛びに起こるのがAIの研究開発。日本語のニュース記事に関してもAIが全自動で生成する日も近いのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)