AIを損害保険会社の損害調査システムへ活用 SCSKらが実証実験開始

2016年11月08日 07:46

 SCSK<9719>は、機械学習技術・深層学習(ディープラーニング)技術・映像解析技術などを持つPreferred Networks(PFN)と、AI技術を活用したソリューションを提供するAsian Frontier(AF)およびAFグループのRidge-iと業務提携し、SCSKが開発・運用する企業の業務システムへのAI技術の活用を推進すると発表した。業務提携に先立ち第一弾として、損害保険会社の損害調査システムへのAI活用実証実験を2016年9月から開始した。

 SCSKは、金融機関、製造業、流通業、通信業向けなど、すべての業種・業界向けにさまざまな業務システム・サービスを提供しているという。特に昨今、金融機関においては、既存業務の効率化や知見の有効活用を目的に、FinTech・AIへの積極投資が進み始め、機械学習・深層学習技術の業務システム・サービスへの適応が求められているからだ。

 このような要請のもと、SCSKでは深層学習を中心にした機械学習のプラットフォーム「DIMo(ダイモ:Deep Intelligence in-Motion)」を提供するPFNの先進技術に注目し、実用検討を行っていた。併せて、「DIMo」の販売および深層学習技術の業務適応コンサルティングを提供するAFおよびAI領域に特化した技術提供を行うRidge-iとの協業を検討した結果、今回の業務提携に合意した。

 今後は、金融機関をはじめ、他の業種・業界向けの業務システム・サービスへのAI技術の活用を推進していく。その第一弾として、まず保険損害調査の効率化を目的に、あいおいニッセイ同和損害保険より損害調査ノウハウの提供を受け、2016年9月からAIの深層学習技術を活用した共同研究プロジェクト(損害保険会社の損害調査システムへのAI活用実証実験)を開始した。

 損害保険会社では、事故の発生時に損害調査部門による事故現場の検分や現物調査を行っている。しかし、従来の損害調査業務では、膨大な調査項目の確認や解析に時間を要しており、被害状況把握の自動化などによる業務の効率化が必要だった。この共同研究プロジェクトでは、従来は人間が視認にて実施している損害規模や適正な修理範囲の判定業務を、「DIMo」の画像認識技術および人間の脳の働きを模したニューラルネットワーク技術の活用で代替できるか、実現性の検証を行うという。

 今後は、共同研究プロジェクトを通じて、損害調査業務を効率化させる知見を組み込んだ業務システムの開発を目指すとともに、AFグループの持つAI技術を活用したコンサルティングノウハウとSCSKのシステム実装技術を組み合わせ、損害保険以外の業務システムへの適応を推進していく方針だ。(編集担当:慶尾六郎)