11月11日時点の需給データは、信用買い残は4日時点から1501億円減の2兆448億円で2週ぶりの大幅減。信用倍率(貸借倍率)は3.04倍から2.71倍へ2週ぶりの減少。信用評価損益率は-12.37から-11.30へ2週ぶりの改善。裁定買い残は613億円増の1兆277億円で2週ぶりに増加した。11月7日~11日の投資主体別株式売買動向を見ると、外国人は4006億円の2週ぶりの大幅買い越し、個人は4154億円の2週ぶりの大幅売り越し、信託銀行は775億円の3週連続の売り越しだった。週ごとに外国人と個人の売りと買いが逆転して大きく振れている。それ以外の需給データも週替わりだった。
前週のカラ売り比率は、14日が37.9%、15日が37.9%、16日が36.8%、17日が38.0%、18日が38.7%で、40%を超えた日はなかった。マーケットのリスクオンを象徴していたのが日を追うごとに低下した日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)で、17日は11月に入って初めて20を下回り、18日終値は19.51で11日の終値21.55から2.04ポイント下落している。それでも10月下旬の18台までは下がっていない。
需給のデータから言えそうなのは「株価の上昇は七難かくす」。問題点を置き去りにしたまま上へ上へと昇っていくと、シグナルが好転して問題点が見えなくなってくる。しかし、相場が崩れた時には問題点が露出する。それは、急成長したスポーツ選手が壁にぶち当たってスランプに陥るようなもの。そこで苦しまないとさらに上のレベルにたどり着けない。日経平均も、調整局面という名のスランプは必ずやってくる。
前週は日米連動のリスクオンが終わりそうで終わらず、18日に為替のドル円は110円台、日経平均は18000円に到達した。2週間で1062円、919円安だった9日の翌10日から6勝1敗で1715円も上昇したが、ちょっと出来すぎの感もある。
18日のNYダウは35ドル安で前日から「いってこい」の反落。為替のドル円は一時111円に迫って110円台後半、ユーロ円は117円台前半で円安基調は維持されている。大阪夜間取引終値は18000円、CME先物清算値は18025円だった。
18日の日経平均先物の終値でわかるように、キリのいい18000円は上値抵抗線(レジスタンスライン)としても下値支持線(サポートライン)としても、誰もが意識する心理的な節目で、あっさり上抜けも下抜けもしない。先物市場では売りも買いもポジションが集中する密集地帯になっている。現状では17500円についてもそれが言える。前週の為替市場の「ドル円=110円」が出来すぎで、今週はそれを下回って推移するなら、日経平均が17500円=下値支持線、18000円=上値抵抗線の間で動くことがまず考えられる。
テクニカル分析のトレンド系指標では18049円に25日線+2σのラインがあり、統計学の標準偏差の理論では、日経平均がそれを超えて上昇する確率は4.55%の、さらに半分しかない(-2σ~+2σの間におさまる確率が95.45%)。「奇跡」とは言わないが、2%台そこそこの確率の高値追いがなおも続くとは考えにくい。ちなみに為替のドル円レートのボリンジャーバンドは18日に21日線+2σのラインを超えた。日経平均も為替のドル円も、今週これ以上のリスクオンを期待するのは厳しく、調整の週になりそうだ。
今週は「それ待ち」になるほどの経済指標もイベントも見当たらず、日米とも企業決算発表のピークが過ぎたので、為替、株価に影響する要素は前週に引き続き要人発言。ただしNYダウは原油先物市場、日経平均は中国リスクという、ザラ場中の波乱要素が存在している。25日移動平均の17286円までは下がらなくても、11月SQ値の17596円を割り込むことは考えられる。その際、心理的節目の17500円が下値のメドになるだろう。
ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは17500~18000円とみる。
勤労感謝の日、感謝祭が明けた後の11月下旬から12月の初め頃は、年末を控えて日米とも株価が上昇する時期。昨年は12月1日に、終値ベースでは1日だけだったが日経平均は2万円にタッチしていた。自動車など輸出関連企業が発表している下半期(10~3月期)のドル円の想定為替レートは110円以下がほとんどで、特に100~105円のゾーンに集中している。現状の為替レートなら、通期の業績を押し上げるほうに効く。来週以降は「トランプ当選相場」から「好業績期待相場」へ、うまくつながるだろうか?(編集担当:寺尾淳)