11月18日の参議院本会議にてストーカー規制法の改正案が全会一致で可決し、今国会で成立する見通しだ。これまで規制の対象が「電子メール」のみとなっていたものに対して、改正案ではTwitterやFacebook、LINEといったSNSやブログも含む「電子メール等」に改正。全ての電気通信が規制の対象となる。また従来のストーカー規制法は被害者の訴えによって初めて起訴ができる「親告罪」であったのに対し、改正後は被害者の訴えが無くても起訴できる「非親告罪」となる。
今回の改正のきっかけとなったのは、今年5月に東京都小金井市で発生したアイドルの女性が刺傷された事件だ。事件が起こる前から容疑者は被害者のTwitterに執拗な書き込みをしていた。しかしストーカー規制法ではTwitterは規制の対象とはなっておらず、警察は被害者から相談されてもストーカー行為として取り締まることができなかった。容疑者は規制を受けることなくTwitterへの書き込みを続け、悲惨な事件が起こった。
またSNSを通じてトラブルに発展する件数も近年増加している。「全国webカウンセリング協議会」によると、2012年度は10件だったのに対して、16年は577件と急増している。SNSで知り合った異性とトラブルになるケースが多く、被害者の年齢層も10代の割合が増えており、被害の低年齢化も進んでいる。
警察庁などによる有識者検討会では14年8月にSNSも規制すべきだという提案が為されていたが法改正には至っていなかった。5月の刺傷事件を受けてようやく改正へと動き出した形となった。
これまでのストーカー規制法の流れを振り返ってみると、1999年に発生した「桶川ストーカー殺人事件」をきっかけに2000年に施行され、つきまといや執拗に電話することが規制された。メールの普及によって13年には電子メールも対象となり、今回SNSも対象となった。
ストーカー規制法の成立も、今回の改正も事件が発生してから初めて法案が提出されるという部分が共通している。前述のように警察庁では14年にSNSの規制が提案されていたにも関わらず、法改正は為されなかった。メディアが多様化する中で新しい手口もその分増加し、相談があったからこそ警察庁は提案したのであろう。悲惨な事件が起こってからではなく、時流に適用した柔軟な法改正の議論がなされることを期待したい。(編集担当:久保田雄城)