北陸新幹線の大阪までの延伸ルートについて、JR西日本<9021>と周辺自治体・経済団体との意見が真っ向から対立している。
JR西日本の来島達夫社長は11月24日に開かれた与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの会合に出席し、福井県小浜市から京都まで南下する小浜京都ルートが望ましいという考えを改めて表明。滋賀県米原駅まで南下し、東海道新幹線に接続する米原ルートは「お客さまに不便をかける」とし、京都府舞鶴を経由する小浜舞鶴ルートは「距離・時間が長くなる」と、いずれも否定的な見解を示した。
一方25日には滋賀県の経済界や自治体などで結成された北陸新幹線米原ルート実現促進期成同盟の日向寛会長らが小松商工会議所において、石川県の福村章県議や南加賀地域の経済団体と意見交換。中京圏へのアクセスも便利になるとして、米原ルートを推すことで意見が一致した。この2日間で改めてJR西日本が小浜京都ルートを、滋賀県が米原ルートを支持している姿勢を両者がはっきりと表明した。
JR西日本が小浜京都ルートを支持している背景には、北陸から大阪への所要時間が最も短いことに加え、米原ルートを採用した場合米原から大阪までは東海道新幹線と接続するために運賃がJR東海<9022>の収入になり、うまみがなくなってしまうと考えられる。
一方滋賀県が米原ルートを支持するのは、中京圏とのつながりを重視している他、小浜京都ルートが採用された場合には湖西線が並行在来線の対象となり、JR西日本から切り離され第三セクターでの運営となる可能性が高い。そのためコストが掛かる湖西線の運営を押し付けられるのではないかという懸念が背景としてあることが指摘されている。
議論が平行線を辿っている中、与党の検討委は来月上旬までに沿線自治体から意見を吸い上げ、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームは年内に3案からルート選定を目指している。それぞれの思惑が交錯しているなか、どのような判断がなされるのか注目が集まる。(編集担当:久保田雄城)