東京商工リサーチによると、2016年11月の「東日本大震災」関連倒産は6件(速報値:11月30日現在、前年同月9件)で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。前月は今年2月以来の2桁(16件)になり一時的な増加をみせたが、再び収束傾向に戻った。なお、累計件数は震災発生から5年半を経過して1,775件
鮮魚販売、水産物冷凍加工の古舘商店(岩手県)は、本社工場内に冷凍・冷蔵設備を保有してピーク時には7億円前後の売上高を計上していた。しかし、東日本大震災で本社設備が被災し、その後に業務を再開したが仕入ルートの寸断から売上高が大幅に減少した。さらに、低調な経営が続いていたところに今年8月、東北に上陸の台風10号による冠水被害も重なり、先行きの見通し難から破産を申請した。震災関連倒産は、震災前の業績水準に回復しない企業がまだ多いことで毎月発生し、震災の傷痕の深さを物語ったとしている。
2016年11月の地区別では、関東4件、東北2件だった。「震災関連」倒産の累計1,775件を都道府県別でみると、最多は東京の543件(11月3件)。次いで、宮城147件、北海道84件、神奈川71件、千葉と福岡が各70件、岩手68件、茨城66件、群馬59件、栃木54件、福島49件、静岡48件、山形46件、埼玉と大阪が各44件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は364件(構成比20.5%)だった。
「震災関連」倒産の累計1,775件を産業別でみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の470件(11月1件)。次いで、製造業が398件(同ゼロ)、卸売業が330件、建設業が216件、小売業が165件と続く。
被害型で分類すると、「間接型」1,618件(構成比91.1%)に対して、「直接型」は157件(同8.8%)だった。11月は「直接型」が1件(岩手)が発生した。(編集担当:慶尾六郎)