家計のバロメーター 「食費」の正しい捉え方

2016年12月11日 12:46

画:家計のハ_ロメーター 「食費」の正しい捉え方

20代一人暮らしの生活費平均額は13万318円。そのうち食費の平均は4万5345円だ。仮に「月の食費は4万5000円」と決めた場合1日あたりの予算は1500円、1週間で1万500円になる。節約のポイントは「使ったお金の確認」よりも「残金の把握」に重きを置くことだ。

 家計の状況は食費を見ると分かるといわれている。厳しくなるとすぐに削られ、余裕が出ると消費に回りやすい分野だからだ。家計の消費支出に占める食費の割合を「エンゲル係数」と呼び、所得が少ない世帯ほどこれが高くなる傾向があるともいわれている。低迷する景気を背景に長い間冷え込んできた家庭の食費支出だが、クロス・マーケティングの最新の調査では多少盛り返してきたとの結果が報告されている。

 調査は全国に在住する20~69歳の男女を対象に年に2回行われている。食費支出が前年同期と比べて「増えた」と回答した人をプラス、「減った」と回答した人をマイナスとして数値化。その結果、15年10月(前々回)は0.0、16年5月(前回)が1.0となり、最新の16年10月は3.0となったのだ。同社は今後1年間の景気の見通しについても調査。今後の景気を「良くなると思う」と回答した割合は前々回が8.1%、前回は5.8%と約2ポイント減少していた。しかし今回は6.9%とわずかに上昇。景況感に期待する人が増えたことがうかがえる。

 食事は1日3回とる。そのため食費は他の費目に比べて「お金を使っている実感」が強くなるという。節約しようとする人のほとんどが、スーパーで材料を安く買ったりコンビニで済ませたりして食費から削減しようとするのにはそんな心証もありそうだ。自炊を心がけて職場でのランチを外食からお弁当に切り替えた人もいるだろう。

 しかし残念ながら、食費を削って得られる節約効果は努力のわりに小さいと専門家は指摘する。食事自体は決して無くすことはできず、一定額以下に下げることも難しいからだ。たとえば毎日昼食に700円使っていた人が自炊に切り替えたとする。外食費は700円×22日(出勤日)=1万5400円の節約になる。一方でスーパーなどでの食材の購入代や光熱費は増すだろうし、調理をしてお弁当箱に詰めて・・・、という時間も馬鹿にならない。それを相殺するとさほど節約できていないのでは、というのが「食費削減反対派」の主な意見だ。

 さらに食事には娯楽の側面もある。友人や会社の同僚とのコミュニケーションであったり、美味しものを食べること自体がストレス発散になったりする場合もあるだろう。食事が原因で体調を崩してしまったら元も子もない。病院代や薬代のほか、自身の給与にも響いてくるかもしれない。実は「健康でいること」はなによりもの節約だ。 (編集担当:久保田雄城)