名車概論/1964年トヨタ車初のグローバルカー、トヨペット・コロナ「RT40型」がデビュー

2016年12月10日 21:07

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トヨペット・コロナの3世代目である「RT40型」セダン。発売から僅かに4カ月でベストセラーとなり、日産ブルーバード「P510型」との熾烈な競争は「BC戦争」と揶揄された

 トヨタは1964年、東京オリンピックが開催される約半年前の5月、同社の総力をあげて開発した新型トヨペット・コロナ(RT40型)を市場に送り出した。丸眼4灯式ヘッドライトを採用し高級感がありながら斬新なスタイルで登場した新型は、最高速度140km/hとする高速性能をもアピールした。

 同時に開通したばかりの日本初の本格的ハイウェイ「名神高速道路」で10万km連続走行公開テストを実施。高速時代をイメージした積極的な販売戦略を展開した。その結果、国内販売だけでなく輸出でも成功を収めトヨタの主力車種に躍り出た。同時にトヨタの技術レベルを一気に国際水準まで引き上げることになった。

 流行のフラットデッキスタイルを採用したボクシーなスタイル、フロントからリヤにほぼ一直線に流れる特徴的な「アローライン」と呼んだサイドビューの“キャラクターライン”が人気を博す。

 新型「トヨペット・コロナ」は発売から僅かに4カ月でベストセラーとなり、日産自動車のブルーバード(P510型)との熾烈な販売競争は「BC戦争」と揶揄された。コロナRT40型のトップセールス(国内首位)は、1968年の同社の「カローラ」に抜かれるまでキープし、日本のクルマとして初めてミリオンセラーになった。

 車型バリエーションも豊富で、4ドアセダンのほかに2/4ドアバン、2ドアシングル/ダブルキャブピックアップをラインアップした。さらにデビュー翌年の1965年7月に、日本車として初めてのピラーレス2ドアハードトップ(RT50型)を追加し、後のスペシャルティカーの先鞭をつけた。RT50型ハードトップモデルは、後にヤマハと協働による高性能テンロク(1.6リッター)DOHCエンジンを搭載した「トヨタ1600GT」を輩出する。この特別なモデルについては、項を改めるつもりだ。

 RT40型はまた、同年11月にハッチゲートを備えた5ドアセダンを加えた。この5ドア車は、多用途に使えるハッチバックセダンで、当時の日本では極めて進歩的なモデルだった。いわゆる、トヨタのLB(リフトバック)車系の元祖といえるモデルだった。

 RT40型搭載エンジンは当初、2R型1.5リッター直列4気筒OHV(70ps)で、トランスミッションは4MTのほか、3速コラムMT、2速ATの“トヨグライド”も設定した。

 1968年4月には、1.6リッター4気筒SOHCエンジン(7R型系)を新たに搭載したゴールデンシリーズを新設した。

 この3代目「コロナ」RT40型は、アメリカを始めとする海外でも通用するトヨタ初の乗用車となった。(編集担当:吉田恒)