IT専門調査会社 IDC Japanは、国内データセンターサービス(顧客企業の情報システムを情報サービス事業者のデータセンターで監視・運用するサービス)市場の最新予測を発表した。
それによると、2016年の国内データセンター(DC)サービス市場は前年比6.7%増の1兆953億円となる見込み。また、2015年~2020年は年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)7.0%で順調に成長すると予測している。自社サーバールームから事業者DCへシステム移設する事例や、既存DCから耐震性能の高いDCへのマイグレーション事例が増えていることが要因となっている。またオンラインゲーム、映像配信、SNS、ネット通販などのいわゆる「ネットビジネス」の市場成長にあわせてサーバー能力が増強されていることもDCサービス市場の拡大に寄与しているとしている。
今回の調査では、国内DCサービス市場を「コロケーション」「クラウドデリバリー・ホスティング」「従来型ホスティング」の3つのセグメントに分けて市場予測を行っている。「コロケーション」とは、顧客が所有するIT機器を事業者データセンター内に設置して運用するサービス、「クラウドデリバリー・ホスティング」とは、クラウドサービスによって提供されるホスティング、「従来型ホスティング」とは、クラウド型によらないホスティング(例えば共用レンタルサーバーや専用サーバー)を、それぞれ指す。
このうち、2016年においては「コロケーション」が全体の55%を占め、次いで従来型ホスティングが23%、クラウドデリバリー・ホスティング」は22%を占める見込みでだが、クラウドデリバリー・ホスティング市場が急速に伸びることから、2017年にはクラウドデリバリー・ホスティングが従来型ホスティングを規模で抜き、大小関係が逆転する見込み。クラウドデリバリー・ホスティング市場の2015年~2020年のCAGRは23.8%と急激な伸びを示す一方、従来型ホスティング市場の同期間のCAGRはマイナス3.1%となると、IDCでは予測している。
クラウドサービスへのシフトにより、国内DCサービス市場は高成長分野とマイナス成長分野とに二極分化している。「DCサービス事業者にとってクラウドサービスと自社DCサービスの相互接続性が、競争優位の要因となりつつある。クラウドサービスの高成長率を軸としたDCサービス事業の再編が求められる」とIDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は分析している。(編集担当:慶尾六郎)