週休二日制が導入され始めた1980年代以降、「花金」という言葉が流行したが、今年は「プレフラ」という言葉が注目を集めそうだ。
経済産業省と経団連をはじめ、日本百貨店協会、日本チェーンストア協会などが、2017年2月24日からの導入を画策している「プレミアムフライデー」。毎月末の金曜日、労働者の就業時刻を15時に繰り上げることで週末の小売りや飲食における消費活動を喚起するだけでなく、旅行など地方への波及効果や、働き方改革にもつなげたい考えだ。2016年12月12日には経産省主導のもと、プレミアムフライデー推進協議会が設立され、統一ロゴマークも公表されている。
実際のところ、プレミアムフライデーには賛否両論がある。「仕事の絶対量に変化はないのだから、金曜日の就業時間が短くなる分、他の日にしわ寄せがくる」「給料が上がらないのに休日だけ増えても消費にはつながらない」「都市圏だけ恩恵をうけて、地方はないがしろになるのでは」など、新しい試みだけにネガティブな意見も多い。しかし、プレミアムフライデー推進協議会には経団連はじめ、小売業、旅行業などの大手がこぞって参加し、協力体制を進めているため、とりあえず2月のスタート時はかなり盛り上がりそうだ。
例えば、三越伊勢丹ホールディングスは高島屋や三井不動産などと共同でプレミアムフライデーに向けた飲食イベントの企画を計画しているという。また、日本航空なども、プレミアムフライデーの特別旅行プランなどの準備を始めている。地方自治体でも、月末金曜日からの国内観光客誘致に向けての動きが出始めているようだ。
プレミアムフライデー成功は、企業同士の協力体制がとれるかどうかも大きな要因になりそうだ。
プレミアムフライデーは消費喚起だけでなく、日本人の働き方改革の良いきっかけになることも期待したい。そもそも日本人は海外諸国に比べて「働きすぎ」とも言われている。勤勉なことは日本人の美徳ではある。戦後日本の経済を驚くべきスピードで復興、成長させたのは日本人の勤勉さの賜物であるのは間違いないが、就業時間の長さや休暇の短さがそのまま優秀な成績につながるとは限らない。休暇をしっかりとって、リフレッシュすることも仕事の内だ。
プレミアムフライデーよりも思い切った施策をとっている企業もある。木造住宅販売を手掛けるアキュラホームは、年末年始や夏季休暇とは別に、社員に9日間の連続休暇を義務付けている。同社では以前から、年115日の公休とは別に6日間のリフレッシュ休暇を設けていたが、これを拡大し、9日間連続で休暇をとることを義務付けた。休暇中の仕事は他の社員が分担して相互にフォローし合うようだ。また、メールで情報共有を徹底するなど、働き方改善にもつながっているようだ。ただの有給休暇ではなく、全社員に義務化されていることでお互いに気兼ねなく休める雰囲気になり、社内の専用サイトで休暇中の旅行記や体験談を語り合うなど、社員同士のコミュニケーションづくりにも役立っているという。
日本人の中には「休む」ということが罪悪のように感じる人も多いが、人生を楽しむことが悪いことであるはずはない。休むことでストレスが軽減され、仕事の能率も上がる。プレミアムフライデーの導入をきっかけに、日本人の仕事に対する意識が前向きに変わることを期待したい。(編集担当:藤原伊織)